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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
卵巣悪性腫瘍1
治療に苦慮した抗リン脂質抗体症候群合併卵巣癌の一例


喜多村 薫, 小笠原 智香, 門脇 綾, 井畑 譲, 鈴木 理絵, 佐藤 美紀子, 杉浦 賢, 宮城 悦子, 平原 史樹
横浜市立大学付属病院産婦人科


 今回我々は急激な経過を伴った抗リン脂質抗体症候群合併の卵巣癌の1例を経験したため文献的考察を加えて報告する.症例は,58歳女性2回経妊2回経産,主訴は左下肢脱力とめまいで,近医で精査の結果,小脳多発梗塞及び左前頭葉出血性梗塞と判明.抗カルジオリピン抗体陽性,抗β2-GPI抗体陽性にて抗リン脂質抗体症候群の診断.全身検索の結果,骨盤内に腫瘤を認め卵巣癌疑いで当科を紹介受診.IVC永久フィルターを留置後,試験開腹を行った.腫瘍は右卵巣原発で生検組織より明細胞腺IIcと診断した.術後ICUで抗凝固療法を行なったが,広義のヘパリン依存性血小板減少症(HIT)を合併したため,凝固系のコントロールに苦慮した.また高Ca血症を合併しビスフォスフォネート製剤を使用した.術後ドセタキセル+カルボプラチンによる化学療法を1コース施行後食思不振が継続し,その後多発性脳梗塞を再発,脳梗塞は広範囲にわたっており次第に意識レベルの低下をきたした.さらに下肢の動脈塞栓を合併し下肢は壊死状態となり,化学療法継続不能と判定するも急激に全身状態悪化し,術後2ヵ月半で永眠した.明細胞腺癌は卵巣癌の中でも血栓症を起こしやすいとされており,さらに抗リン脂質抗体症候群が特に明細胞腺癌に合併しやすいという報告も散見される.本症例は,周術期および化学療法中の動静脈塞栓の予防と凝固系のコントロールが困難を極め,予後不良の経過をたどった.今後,明細胞癌と抗リン脂質抗体症候群,および凝固能異常亢進の関連性を明らかにするために,さらなる症例の蓄積と詳細な分析が必要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 250-250, 2004


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