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【原 著】
CEAが単独で上昇した卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化(粘液性腺癌)の症例


小倉 剛, 佐藤 豊実, 安岡 真奈**, 志田 京子, 西田 正人**, 久保 武士**
 茨城西南医療センター病院産婦人科
** 筑波大学臨床医学系産婦人科


 今回我々は卵巣成熟嚢胞性奇形腫の中でも稀な腺癌への悪性転化の一例を経験した.
 症例は55歳3経妊3経産婦.腹部膨満感を主訴に当院内科受診,腹部エコーにて卵巣腫瘍を指摘され当科受診.CT,MRIにて骨盤腔内から右側腹部にかけてfat densityで石灰化を含む腫瘤があり,充実性部分の存在から右卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化疑いと診断した.腫瘍マーカーはCEA 39.9ng/mlと高値の他は正常であった.平成10年3月24日右付属器切除術施行,腫瘍は20×15×10cm,2,140gで,肉眼所見に歯牙,脂肪組織,毛髪等を認め,病理診断にて右卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化(粘液性腺癌)であった.4月24日卵巣癌根治術(対側付属器切除,単純子宮全摘術,骨盤内リンパ節郭清,傍大動脈リンパ節郭清,大網切除,虫垂切除)施行,臨床進行期はstage Ia期であった.この為,化学療法を施行せず外来管理中である.

Key words:ovary, mature cystic teratoma, malignant transformation, adenocarcinoma CEA

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 37(4) 411-415, 2000


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