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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))

【一般演題】
その他の悪性腫瘍2
子宮内膜症から発生したと考えられる腟腺癌の一例


中江 華子1), 松本 光司1), 八杉 利治1), 大須賀 穣1), 上妻 志郎1), 矢野 哲1), 武谷 雄二1), 福岡 佳代2)
東京大学産科婦人科1), JR東京総合病院産婦人科2)


 腟癌は婦人科悪性腫瘍のわずか1%を占めるにすぎず,しかもそのほとんどは扁平上皮癌であり腺癌は極めてまれである.今回我々は子宮内膜症から発生したと考えられる腟腺癌の一例を経験したので報告する.症例は49歳女性.1経妊1経産,閉経46歳.既往歴として28歳から35歳まで子宮内膜症の診断で近医にて通院治療した.2004年11月不正出血を主訴に前医受診.腟癌の疑いで当科を紹介され受診した.初診時,後腟円蓋にφ2cm大の腫瘤が認められ,同部位の組織生検にて腺癌が認められた.CA125,CA19-9,CEAはいずれも正常範囲内で,子宮頸部や直腸原発の可能性も考え精査を行ったがいずれにも病変は認められなかった.腟原発腺癌の術前診断にて2005年1月に根治術を施行した.後腟円蓋に一部露出するφ2cm大の腫瘍は子宮頸部直下と直腸前面にはさまれて存在し,腫瘍の一部からダグラス窩にかけて直腸および子宮と広範かつ強固な癒着が認められた.腫瘍を一塊にして摘出するために広汎子宮全摘術(骨盤リンパ節郭清を含む)および直腸低位前方切除術を行った.摘出標本の病理診断は低〜中分化の類内膜腺癌で,子宮内膜症病変と癌病変が共存していることから子宮内膜症病変を母地として腺癌が発生した可能性が高いと考えられた.進行期はII期(pT2N0M0)であったが,リンパ節転移も脈管侵襲もなく,切除断端も陰性だったことから後療法は施行せずに現在外来にて経過観察中である.子宮内膜症は卵巣癌の発生母地となりうることが示唆されているが,子宮内膜症が腟円蓋に進展した場合に腟癌発生の母地となりうることを念頭において管理すべきだと考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2) 182-182, 2005


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