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 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

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【原著】
妊娠32週に破裂をきたした先天性胸部大動脈瘤の一症例


深田 幸仁1), 河野 照子1), 山中 智哉1), 星 和彦2)
1)独立行政法人国立病院機構甲府病院産婦人科
2)山梨大学医学部産婦人科


 極めてまれな先天性胸部大動脈瘤破裂を妊娠32週に発症したが迅速な対応によって母児ともに救命しえた症例を経験したので報告する.
 症例は25歳の初妊婦.既往歴および家族歴に特記すべきことなし.現病歴は妊娠9週から当院にて妊婦健診を行っていたが,母児ともに特に異常なかった.妊娠32週4日,入浴中に突然強い胸背部痛および呼吸困難が出現したため,救急車にて当院に搬送された.外陰部から羊水様分泌物の流出とバイタルサインをはじめとする現症から羊水塞栓に伴う拘束性肺障害に起因する低酸素血症およびそれに伴うnon-reassuring fetal statusを最も疑い,直ちに全身麻酔下での緊急帝王切開術を施行し,1,721 gの女児を娩出した.児のApgarは1分後1点,5分後2点で当院NICU入院となった.血液検査所見ではHb 6.2 g/dlと貧血を認め,手術終了時の胸部単純レントゲンおよび単純CT撮影にて大動脈弓部に直径2.5 cm大の嚢状大動脈瘤およびその破裂を認め,同部の左胸腔内穿破による血胸を強く疑い胸部外科のある近医救急部へ緊急搬送し,大動脈瘤の切除およびPatch補填術を施行した.術後経過は良好で術後32日目に退院した.
 産科的に基礎疾患を指摘されていない妊婦が突然前胸部痛をきたした場合には,羊水塞栓症,肺塞栓症が疑われるが先天性胸部大動脈瘤破裂も念頭におき対応する必要がある.

Key words:pregnancy, aortic aneurysm, congenital aneurysm

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(4) 343-347, 2004


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