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【原著】
子宮全摘を行った帝王切開の瘢痕部に妊娠した一症例


長谷川 潤一, 小出 馨子, 折坂 勝, 宮本 真豪, 近藤 哲郎, 鈴木 紀雄, 下平 和久, 横山 和彦, 長塚 正晃, 小川 公一, 高橋 諄
昭和大学横浜市北部病院 産婦人科


 帝王切開の瘢痕部の妊娠は異所性妊娠のなかでもまれであり,未だ治療法が確立されていない疾患である.今回,本疾患を経験し腹式単純子宮全摘によって速やかに治療し得たので,治療法について文献的考察を加えて報告する.
 症例:31歳,4回経妊,3回経産(3回帝王切開術).無月経のため前医を受診し,頸管妊娠と診断され,最終月経より6週4日,当院に紹介受診となった.経腟超音波検査にて,心拍陽性の胎芽,卵黄嚢を含む胎嚢は子宮峡部の前壁に存在し,子宮筋層は約5 mmと菲薄化していた.骨盤MRI検査では,胎嚢は子宮峡部の前壁に認められ,膀胱との間に菲薄化した子宮筋層を認めた.以上より,帝王切開の瘢痕部の妊娠と診断した.本人及び家族に治療法について説明し,妊孕性温存の希望がなかったので,腹式単純子宮全摘術を選択した.子宮下部において,菲薄化した子宮筋層から胎嚢を透見できた.病理組織では,線維化を認めた瘢痕部に脱落膜組織,絨毛組織の侵入を認め,瘢痕部の妊娠所見であった.術後経過は良好であった.
 考察:本症例では,腹式単純子宮全摘術で安全に治療し得た.本疾患の治療法の選択においては筋層の菲薄化の程度,患者の希望,治療法のリスク評価などによって多岐にわたり,本疾患に遭遇したときに,各治療法のメリット,デメリットを熟慮した上での判断が望まれると考えられた.

Key words:Cesarean section scar, Ectopic pregnancy, Intramural pregnancy, Methotrexate

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(1) 3-7, 2005


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