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【症例報告】
hCG高値にて経過観察中に出現した卵巣原発絨毛癌の1例


近藤 沙織, 伊東 和子, 村中 愛, 近藤 理絵, 大平 哲史, 宮本 強, 堀内 晶子, 加藤 清, 塩沢 丹里, 小西 郁生
信州大学医学部産科婦人科学教室


 卵巣胚細胞腫瘍としての卵巣原発絨毛癌は稀な疾患であり,発生初期段階の臨床経過は不明である.今回我々は子宮外妊娠を疑って経過観察中にhCG産生腫瘍であることが判明した卵巣原発絨毛癌の1例を経験した.症例は27歳,0回経妊,月経不順を主訴に2004年11月より当科を受診し,12月受診時(最終月経より8週4日),尿中hCG陽性となった.尿中hCG値は934 IU/lであったが,経腟超音波断層像にて子宮内膜は薄く,胎嚢を認めず,付属器領域に異常所見を認めなかった.当初は子宮外妊娠を疑い経過観察したが,性器出血,腹痛は認めず,尿中および血中hCG値はいずれも1,000〜2,000 IU/lと軽度高値のままで推移した.hCG産生腫瘍の存在も否定できないと考えて全身検索を行ったが,頭部MRIで下垂体腺腫が疑われたのみであった.ところが,2005年2月より血中hCG値が29,756 IU/lと急上昇し,同時に左卵巣が径5 cm大に腫大し,充実性腫瘤として認められたため,絨毛癌と診断し開腹術を施行した.約500 mlの血性腹水を認め,細胞診は陰性,左付属器切除術を施行した.左卵巣腫瘍の病理組織診断は一部に未分化胚細胞腫を伴う絨毛癌であった.全身化学療法MEA療法(メトトレキセート,エトポシド,アクチノマイシンD)を5コース施行し,尿中および血中hCG値は正常範囲内に低下し,現在外来で経過観察中である.卵巣絨毛癌発生の初期過程を捉えることができた症例であったと考えられる.

Key words:ovarian choriocarcinoma, germ cell tumor, hCG

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(4) 373-377, 2006


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