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【症例報告】
塩酸リトドリンによる発熱性の副作用を示した坑SS-A抗体陽性妊婦の1例


斉藤 圭介, 佐藤 綾, 長瀬 寛美, 鈴木 理絵, 橋本 栄, 平吹 知雄, 山中 美智子
神奈川県立こども医療センター産科


 塩酸リトドリンは子宮収縮抑制薬として産科臨床に於いて広く用いられており,副作用は重篤なものから軽微なものまで多種ある.今回我々は,母体抗SS-A抗体移行による胎児完全房室ブロックに対して胎児心拍数増加目的に塩酸リトドリンを点滴投与したところ,同剤によると考えられる発熱を来した症例を経験した.症例は25歳の初産婦で,妊娠21週6日に胎児徐脈のため当科へ紹介された.胎児完全房室ブロックと考えられ,徐脈が悪化したため24週より塩酸リトドリンの点滴を開始した.その13日後より連日夜間に発熱し,弛張熱を呈した.身体所見,各種検査で明らかな感染を示唆するものはなく,塩酸リトドリンの副作用を疑って投与を中止したところ,速やかに解熱した.胎児治療のため後日投与再開したが,再度発熱し,投与中止により解熱した.肝酵素上昇も認めた.胎児徐脈増悪による胎児水腫が進行したため,妊娠33週3日に帝王切開施行し,2,570 gの男児を得た.児は出生直後に開胸一時ペースメーカー挿入,日齢4に永久ペースメーカーに交換し,経過良好である.発熱までの感作期間の存在,薬物中止で症状消失,再投与での症状再現,他に感染等明らかな発熱の原因を認めないことなどから発熱の原因としては薬物熱がもっとも矛盾しないと考えられた.塩酸リトドリン投与中に発熱が生じた際は原因の一つとして薬物熱も念頭に置く必要がある.

Key words:β2-stimulant, drug-induced fever, ritodrine hydrochloride, anti-SS-A antibody, fetal cardiac arrhythmia, pregnancy

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(4) 389-393, 2006


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