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【症例報告】
化学療法により腫瘍細胞が変性壊死したことで大量出血を生じた絨毛癌の一症例


石川 哲也1), 小出 馨子1), 野口 有生1), 国村 利明2)
1)大和徳洲会病院 産婦人科
2)昭和大学 第一病理学教室


 絨毛癌の発生頻度は年々減少傾向にあり現在では稀な疾患となってきている.ほとんどの絨毛癌症例は何らかの先行妊娠を伴うが,先行妊娠が胞状奇胎でない場合の診断は困難で遅延する場合が多い.我々は正常妊娠後1年以上の期間を経て発症した絨毛癌症例を経験したので報告する.症例は32歳,3経妊,3経産の患者である.避妊をしていたにもかかわらず妊娠反応が陽性であることおよび不正出血の持続にて紹介受診となる.初診時の尿中hCGは120 IU/Lであった.経腟超音波断層検査では子宮内膜の肥厚像を認めず,子宮体部に直径約3 cmの粘膜下筋腫様の高輝度な腫瘍を認めた.不正出血が持続するためchemical abortionの疑いで子宮内膜全面掻爬を行ったところ,病理組織検査で絨毛癌と診断された.CT検査では両肺野に多発性の転移巣を認める以外,転移巣は認めなかった.WHO予後スコア(1999)は8点でありhigh-risk群であるためMEA療法を行った.MEA療法にて血中hCGは順調に低下し,不正出血および肺転移巣は消失した.MEA療法4クール終了時,血中hCGの上昇を認めたため抗癌剤の変更を検討していたところ,突然の大量出血を生じ救急受診となる.持続性の出血であり止血不能であったため腹式単純子宮全摘出術を行った.その後MEA療法を継続し寛解に至る.絨毛癌は化学療法が第一選択の治療として行われるが,出血に対しては手術をも念頭に入れ早急な対応が望まれると思われる.

Key words:choriocarcinoma, MEA(methotrexate(MTX), etoposide, actinomycin-D(Act-D)) chemotherapy, high-risk group, hysterectomy, genital bleeding

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(1) 9-14, 2007


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