関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

【症例報告】
分娩子癇との鑑別に苦慮した頭痛を伴わないくも膜下出血の1例


神保 正利, 石崎 聡之, 吉井 明日香, 藤原 礼, 小泉 仁嗣, 坂井 昌人
東京女子医科大学八千代医療センター母性胎児科


 くも膜下出血などの脳血管疾患は分娩10万例に対して10〜20例と極めて稀であるが,その発症により母体生命が危機に瀕することも少なくない.多くは激しい頭痛から始まり,麻痺,痙攣,意識障害を起こすとされている.今回,頭痛を伴わず全身性の強直性痙攣にて発症し,子癇発作との鑑別に苦慮したくも膜下出血症例を経験した.症例は31歳,初産婦.妊娠経過に問題なく,妊娠39週3日,陣痛発来にて前医に入院した.分娩第1期進行中に全身性強直性痙攣および意識障害が起こり,ジアゼパム10 mg,硫酸マグネシウム4 gを投与,すぐに意識清明となるも直ちに当院へ母体搬送された.血圧は130/78 mmHg,随時蛋白尿(3+),血液検査では大きな異常を認めなかった.胎児well-beingは良好であり,内診上子宮口9 cmであるも子宮収縮は不規則であり,今後陣痛増強による血圧上昇や痙攣発作の再発が懸念されたため,同日,帝王切開術を行った.術後1日目の頭部CTでは右前頭葉に浮腫像とくも膜下腔に出血像がみられたが,MRI,MRAにて明らかな血管病変は認めず,保存的治療が選択された.術後経過は順調であり,頭部CTでは術後34日目に出血および浮腫病変は消失した.血圧は正常域であったが蛋白尿が高値を示し,頭痛を伴わない痙攣の出現から分娩子癇を強く疑った症例であったが,くも膜下出血においても頭痛を伴わない症例の報告があり,その鑑別には画像診断は有用であると考えられた.

Key words:subarachnoid hemorrhage, eclampsia

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(4) 349-353, 2008


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会