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【症例報告】
帝王切開の子宮手術創に発生した子宮内膜症性嚢胞の1例


津田 千春1), 小林 陽一1), 岡崎 寛子2), 鈴木 直1), 木口 一成1), 石塚 文平1)
1)聖マリアンナ医科大学産婦人科
2)同 放射線科


 今回我々は帝王切開子宮創に発症したと思われた稀な症例を経験した.症例は骨盤位にて帝王切開の既往のある44歳1経産の主婦.発熱と茶褐色帯下を主訴に他院受診し当院紹介となった.経腟超音波上,子宮頸部前壁に嚢胞性病変を認め子宮鏡にて同部位への瘻孔が確認された.骨盤MRIではT1,T2強調像において頸部の嚢胞性病変は高信号を呈していた.以上の所見より左卵巣内膜症性嚢胞と帝王切開術子宮層に発症した内膜症性嚢胞の合併と診断し開腹術を施行した.開腹時所見としては左卵巣の内膜症性嚢胞と子宮頸部の帝王切開術創に一致した部位に嚢胞性病変を認め,子宮頸部嚢胞の内容液は茶褐色であった.単純子宮全摘と左付属器切除術を施行,術後病理組織にて帝王切開の術創と思われる部分に内膜症組織を認めた.帝王切開の適応症例は増加の傾向にあるため,帝王切開子宮創部に発生する内膜症性嚢胞の頻度は今後増加していく可能性が示唆され,今後留意する必要があると思われた.

Key words:cesarean section scar, endometrioma

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(4) 359-362, 2008


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