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【症例報告】
後腹膜原発Benign multicystic mesothelioma of the peritoneumの一例


勝畑 有紀子, 横田 奈朋, 宮城 悦子, 佐治 晴哉, 吉田 浩, 助川 明子, 佐藤 美紀子, 杉浦 賢, 平原 史樹
横浜市立大学医学部産婦人科


 中皮腫の特殊型に分類される極めて稀なBenign multicystic mesothelioma of the peritoneum(BMMP)の一例を経験したので報告する.
 症例は27歳0回経妊0回経産.下腹部痛を主訴として前医を受診.炎症反応も強く急性腹症の診断で緊急開腹術施行された.開腹時,多数の小嚢胞状腫瘍が骨盤内中心に認められた.完全切除が不可能なため診断目的で腫瘍部分切除のみが行われた.病理組織診断にてBMMPと診断され術後2か月目当院当科紹介受診.下腹部痛疼痛症状持続のため,初回術後3か月目腫瘍摘出術施行した.ダグラス窩を中心に多数の小嚢胞が集族した腫瘤(11×5×2 cm),さらに膀胱子宮窩腹膜,腹壁腹膜,腸管表面,大網にも多数の小嚢胞性病変を認めた.術後緩徐な残存腫瘍の増大を認めるが,外来で慎重経過観察している.Benign multicystic mesothelioma of the peritoneumは良性に分類されているが,その半数に再発を認めると報告されており,治療にあたっては完全な摘出およびその後の定期的な観察が重要とされる.

Key words:benign multicystic mesothelioma of the peritoneum, imunohistochemistry, calretinin, mesothelial cell

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(1) 9-14, 2009


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