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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【教育講演】
産婦人科手術の安全な麻酔のために


照井 克生
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター麻酔科講師


 産婦人科手術の麻酔を安全に行うためには,妊娠による生理学的・解剖学的変化を理解
した上で,正しい手技と適切なモニタリングが不可欠である.しかしどんなに正しく麻酔
を行っても,希な合併症はなくすことができない.麻酔中の合併症や異常事態に対処する
ためには,予測すること,対処をあらかじめ考えておくこと,緊急事態に対処する設備・
薬品を準備しておくことである.本講演では,合併症を最小限にするような麻酔管理上の
ポイントを,帝王切開,子宮内容除去術,腹腔鏡手術について検討する.
 (1 )帝王切開術麻酔による妊産婦死亡は,誤嚥と挿管困難に由来することは,内外
の母体死亡調査で繰り返し明らかにされてきた事実である.従って,禁忌のない限り区域
麻酔(脊椎麻酔,硬膜外麻酔など)を選択することが原則である.脊椎麻酔の合併症とし
て,全脊椎麻酔による呼吸停止や,重度低血圧,心停止などがある.これらを防ごうとし
て局所麻酔薬の投与量を減らすと,患者が痛みを訴え,鎮痛薬や鎮静薬の追加を余儀なく
される.妊婦はこれらの薬物に対する感受性が高まっており,容易に呼吸抑制や意識消失
に至る.充分な麻酔レベル(T 4 )をめざし,くも膜下フェンタニール10 オg を添加し鎮痛
を増強することで,これらの必要性を減らすことができる.硬膜外麻酔の場合は,血管内
誤注入による局所麻酔薬中毒,くも膜下誤注入による全脊椎麻酔が恐れられる.硬膜外カ
テーテルはいつ迷入にしてもおかしくないと考え,毎回の注入を試験注入のつもりで行う.
少量分割注入を実践することで,誤注入の影響を最小限に留めることができる.全身麻酔
の場合は,挿管困難をあらかじめ予測し,予期せぬ挿管失敗に対処するドリルを復習する.
 (2 )子宮内容除去術呼吸抑制を完全に防ぐことのできる静脈麻酔法は存在しない.む
しろ呼吸抑制の対処を前提として麻酔を行う必要がある.鎮静薬は静脈麻酔薬と実際上区
別できない.傍子宮頸管ブロックの併用は,これらの必要量を減らす上で有用と思われる.
 (3 )腹腔鏡手術気腹による呼吸・循環の変化に加え,Trendelenburg 位により気管分
岐部が頭側に移動し,片肺挿管になりやすい点も予測しておく.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 222-222, 2001


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