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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【教育講演】
卵巣癌の治療のための基準


上坊 敏子
北里大学医学部産婦人科学教室助教授


 卵巣癌は近年増加しつつあり,死亡例も増加の一途をたどっている.日本産科婦人科学
会の婦人科腫瘍委員会では,「卵巣癌の治療の基準化に関する小委員会」を設置し,昨年小
委員会報告が出されている.その報告に沿って,さらにその後登場した新しい化学療法剤
についても概説する.
 1 .卵巣癌の診断:現在のところ卵巣癌のスクリーニング法は確立されていない.診断に
は,画像診断とCA 125 に代表される腫瘍マーカーが用いられる.手術の適応は,生殖年令
であれば7 cm ,閉経後であれば5 cm が基準である.最終的には,術中の迅速病理診断によ
る術式の決定が望ましい.
 2 .手術療法:卵巣癌の治療の基本である.初期癌(I 期,II 期)でも進行癌(III 期,IV
期)でも,基本的には両側付属器摘出術,子宮摘出術,大網切除を施行する.後腹膜リン
パ節の摘出は正確な進行期を知る上で必要であるが,その治療的効果は確立されていない.
保存的手術は,上皮性悪性腫瘍の場合はIa 期で高分化型の場合,および胚細胞腫瘍の場合
には可能であるとされる.進行癌では,予後改善のために腫瘍縮小術が必要である.
 3 .化学療法:卵巣癌において化学療法が不要とされるのは,Ia 期,Ib 期で高分化型の場
合のみであるとされる.化学療法の歴史は長いが,1980 年から現在に至るまでプラチナ製
剤が基本に選択されている.近年では,paclitaxel とcarboplatin の併用が標準的とされ,
早期癌では3 −6 コース,進行癌では少なくとも6 コースの投与が行われる.進行癌では,
この他に造血幹細胞輸血による大量化学療法,Neoadjuvant Chemotherapy などの工夫が
なされている.胚細胞腫瘍においては,bleomycin ,etoposide ,cisplatin の併用療法が非常
に高い治療効果を示し,治療成績の向上が得られている.
 4 .新しい化学療法剤:paclitaxel と同じタキサン系の薬剤であるdocetaxel が注目され
ている.Paclitaxel の副作用である神経毒性が緩和されており,carboplatin との併用で好成
績が報告されつつある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 230-230, 2001


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