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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【一般演題】
胎児・新生児(3)
出生前診断した胎児右肺無形成の一症例


島津 由加里, 深田 幸仁, 正田 朋子, 平田 修司, 星 和彦
山梨医科大学産婦人科


 Scimitar症候群は,右肺低形成,部分肺静脈還流異常(右肺静脈の下大静脈への還流),心臓の右方偏位を主徴とする先天異常であり,出生前の報告は極めてまれである.今回,出生前から胎児の右肺無形成,心臓の右方偏位があり,Scimitar症候群が疑われた症例を経験したので報告する.母親は27歳,1経産,2000年8月5日を最終月経初日として妊娠成立.妊娠33週3日,羊水過多,切迫早産,胎児右肺無〜低形成疑いにて当院へ搬送された.同日,MRI(SSFSE法)を施行.胎児の右肺に相当する構造物は認められず,左肺は相対的に肥大し,心臓が右側に偏位していた.妊娠35週2日,羊水穿刺施行.羊水L/S比は2.0未満,shake testは(−)であった.BPSは常に10点であった.妊娠36週2日,分娩誘発を行い2138g,45.0cm(Light GA),Apgar score1分後2点(心拍のみ),5分後2点の男児を経膣分娩した.臍帯動脈のpHは7.4.新生児は直ちに気管内挿管され小児科管理となった.外表奇形として多指症,耳介低位が認められ,出生後のX線写真にて,左肺のIRDS,右肺無〜低形成が認められ,食道閉鎖(Gross C型)の存在が示唆された.心エコーでは,右肺動脈無形成,動脈管開存,卵円孔開存があり,右左短絡を認めた.高度のアシドーシスが認められ,HFOによる人工換気,サーファクタント投与およびアシドーシスの補正を行うも改善せず,生後約3時間後に呼吸不全のため死亡した.解剖は家族の同意が得られず施行できなかったため,Scimitar症候群の確定診断には至らなかった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 260-260, 2001


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