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第103回学術集会(平成14年6月9日(日))

【一般演題】
妊娠中毒症(1)
正常妊娠および妊娠中毒症における血中および胎盤組織内M-CSF濃度についての検討


星本 和倫, 林 雅敏, 佐々木 奈奈, 根岸 秀明, 星本 和種, 濱田 佳伸, 友部 勝実, 矢追 正幸, 堀中 俊孝, 榎本 英夫, 太田 順子, 大藏 健義
獨協医科大学越谷病院産婦人科


【目的】M-CSFは絨毛の内膜への侵入を調節するとともに,胎盤の分化,増殖を促進することから妊娠の維持にきわめて重要なcytokineである.われわれは末梢血中M-CSF濃度が正常妊婦に比し妊娠中毒症妊婦では増加することを報告してきた.今回は末梢血中に加えて,胎盤組織内のM-CSF濃度を測定し,比較検討したので報告する.【方法】妊娠38週(妊娠38週6日±7日)(M±SD)の正常妊婦19人(29.2±5.2歳)と妊娠38週(妊娠38週1日±18日)の妊娠中毒症妊婦18人(31.9±5.6歳)を対象とし,全症例からinformed consentを得た.また,年齢と妊娠週数は両者間に有意差を認めなかった.末梢血は分娩前に採取した.また,分娩直後に胎盤の中央部の組織を約7g切離し,生理食塩水20mlを加えてミキサーにて均質化した後遠心分離し,上清を採取した.M-CSFはELISAにて測定した.なお,統計学的有意差検定はMann-Whitney U testにて行った.【成績】正常妊婦および妊娠中毒症妊婦の血清中M-CSF(U/ml)濃度はそれぞれ1289±464,1720±502であり,胎盤組織内のM-CSF濃度(U/mg protein)はそれぞれ96.3±21.6,115.6±29.0であった.いずれも妊娠中毒症妊婦の方が正常妊婦に比べて血液(p<0.01),胎盤(p<0.05)とも有意に高濃度であった.【結論】M-CSFは正常妊婦に比較して妊娠中毒症妊婦の血液と胎盤で有意に高濃度であったことから,M-CSFが妊娠中毒症の病態に関与している可能性が示唆された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(2) 152-152, 2002


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