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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
妊娠合併症(凝固異常)
先天性血栓性素因(Inherited thrombophilia)として妊娠・分娩管理を行った一例


漆川 邦, 渡邉 秀樹, 小畠 真奈, 藤木 豊, 宗田 聡, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大学産婦人科


 先天性血栓性素因(Inherited thrombophilia)は母体血栓症を引き起こし,また流産,子宮内胎児発育遅延,妊娠中毒症との関連が指摘されている家族性の疾患である.日本人には稀とされているが,欧米人では母体死亡の主な原因の一つである.今回我々は,Inherited thrombophiliaが疑われた症例を経験したので報告する.症例は1経妊1経産婦のドイツ人で,妊娠31週に外陰部静脈瘤の悪化のため前医より当科に紹介受診された.問診より,本人には血栓症の既往歴はないが,実母と姉に肺梗塞の家族歴を有することからInherited thrombophiliaが疑われたため,第5因子Leiden mutation,AT-III欠損,メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)多型,プロトロンビン遺伝子多型などを検索した.その結果,遺伝性凝固異常は認められず,妊娠中は抗凝固療法を行わずに経過観察とした.妊娠37週に,前回帝王切開分娩を適応に帝王切開術を施行した.術後ヘパリン療法を行い,さらにワーファリンを4週間投与した.肺塞栓症,深部静脈血栓症もなく良好に経過した.Inherited thrombophiliaは欧米人に多い疾患である.分娩後の肺塞栓症のリスクが高く,アメリカ産科婦人科学会(ACOG)では血栓症の既往や家族歴のある患者には遺伝子解析を含む管理方針を推奨している.近年,わが国でも日本人以外を診療する機会が増えており,他の人種に特有な疾患にも注意しながら問診し,診療を行うことが重要であると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 253-253, 2002


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