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第104回学術集会(平成14年10月19日(土),20日(日))

【一般演題】
その他の腫瘍2
MRI等の画像上奇異な所見を示した成熟奇型嚢胞腫の1例


堀 芳秋, 酒池 淳, 小笠原 良治, 窪田 与志
横浜栄共済病院産婦人科


 成熟嚢胞性奇形腫は卵巣腫瘍の中で約20%と最も頻度が高く,胚細胞腫瘍では95%を占める.術前診断は超音波,CT,MRIで比較的簡単になされる.脂肪,水,毛髪,石灰化等の多彩な成分より構成されるため,画像上は様々な形態を示す.我々は,MRI等の画像上奇異な所見を示した成熟嚢胞性奇形腫の1例を経験したので報告する.【症例】52歳,2経妊2経産,閉経52歳で,腹部腫大,腹痛を主訴に来院した.腫瘍は成人頭大で臍上まで及ぶ巨大なものであった.超音波検査では,腫瘍内に液体成分中に浮遊する高輝度の球形結節を多数認めた.腫瘍マーカーはCA19−9:7U/ml CA125:10U/mlと正常範囲内であった.MRIでもT1WIで低信号,T2WIで高信号の液体成分の中に,T1WIで高信号,T2WIで等信号の結節を多数認め,脂肪成分が浮遊する巨大な成熟嚢胞性奇形腫と考えられた.当科入院後に開腹手術を施行した.嚢腫は約20cm径,2700gで,術中迅速診断にて良性と診断されたため,右付属器摘出のみとなった.【病理組織診】混濁状の漿液中に2cm径の小球が多数浮遊していた.実態は,少量の脂肪を含む角化物質であった.嚢腫壁には,層状に偏平上皮が広がっており,毛髪,歯の形成も見られた.術後は経過良好であった.【まとめ】成熟嚢胞性奇形腫は様々な形態をとりうるが,今回の様に画像上,嚢腫中に多数の球形結節を認める所見を示すものは珍しい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 281-281, 2002


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