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<< 学会誌へ戻る 【はじめに】成熟嚢胞性奇形腫のうち悪性転化は1〜2％で，そのほとんどが扁平上皮癌である．我々は，術前直腸細胞診にて扁平上皮癌へ悪性転化した成熟嚢胞性奇形腫の1例を経験した．【症例】53歳，1経妊1経産，主訴は下腹部膨満感，内診にて子宮後方に超手拳大の腫瘤を触知，MRIではT1，T2ともに高信号の直径10cm以上の嚢胞性腫瘤で腫瘤前壁に脂肪成分と，後壁には7cm大の不正充実性腫瘤を認めた．便鮮血反応陽性，大腸ファイバースコープにて腫瘤の直腸穿孔が疑われた．直腸細胞診を施行したところsquamous cell carcinomaが検出された．治療は単純子宮全摘術，両側附属器切除術，直腸切除及び虫垂切除術，骨盤及び傍大動脈リンパ節廓清術施行し術後補助化学療法施行した．【入院時検査所見】CA-125 22.4U/ml，CA19−9 53U/ml，CEA 1.6ng/ml，SCC 2.7ng/ml，血清Ca 14.2mg/dl，PThrP 3.5ng/ml【直腸細胞診所見】好中球が多数認められる背景に，異常角化を示す異型細胞を認める．N/C比は高く核は粗顆粒状である．一部bizarreな形態を示すものも認め，扁平上皮癌と診断した．【摘出物病理組織所見】腫瘍の大部分は高分化型の扁平上皮癌で癌真珠が認められた．正常扁平上皮から扁平上皮癌への移行が確認された．また腫瘍の一部では直腸を貫通し粘膜表面までの浸潤を認めた．後腹膜リンパ節への転移も確認された．【結語】悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫の直腸穿孔は稀である．術前直腸細胞診でも直腸穿孔を確定しうることが示唆された． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 39(3) 281-281, 2002 |
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