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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【特別講演2】
包括評価の問題点と将来の展望


西山 正徳
厚生労働省保険局医療課


 DPC(Diagnosis Procedure Combination)と称される新たな診療報酬支払い制度が平成15年4月から大学病院に導入された.本制度の特徴は,技術料中心の出来高評価と入院料中心の包括評価を組み合わせた支払い方法で,このことによりドクターフィーとホスピタルフィーに診療報酬体系を区分していく第一歩が築かれたと言える.また,包括評価部分の特徴は,新たに診断群分類ごとの支払い方式を導入したこと,対前年度医療費との調整を行うことなどで,このことにより診断群分類間の在院日数やコストの大学間比較が可能となると同時に,医業収益の面では,例えば検査や材料,医薬品などの使用の適正化によって収益増にもなる.
 しかしながら,一方では医療の質の低下が懸念されている.その理由は,診断群分類毎に平均化した費用を償還するため,これを超えた部分は赤字になったり,あるいは使用を抑制せざるを得なかったりするのではないかということである.抗がん剤や血液製剤,インターフェロンなどの医薬品は高額なものも少なくない.従って,これらの医薬品の使用抑制につながるのではないかという意見である.
 包括評価の目的は,医療の質の向上と効率化である.この両者は背反するものとして考えられがちだが,決してそうではない.今回の包括評価の基礎となった26万7千データを分析すると,大学病院間での平均在院日数には約2倍の格差があった.診断群分類別に比較すると4〜5倍の格差も見られる.これには様々な原因が考えられるし,また,単に短いことが良いとは言えない.この原因について分析することが,医療の質や効率化の促進に極めて重要なことである.こうした分析・検討の中で,必要な医療が抑制されてしまうエビデンスがあれば,その部分を出来高にするとか,あるいは別の診断群分類を作るとか検討する必要がある.包括評価とは「医療のばらつきを前提として統計的標準化を行う」ことである.従って,統計的標準化を是正していくのは,臨床現場の医療である.今回の包括評価で,診断群分類という臨床医療の共通言語を持ったことの意義は大きい.今後,現在の分類をさらに発展させ,国際標準とする努力が求められている.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 141-141, 2003


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