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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【一般演題】
卵巣腫瘍(2)
Docetaxelによるsalvage chemotherapyにより胸水貯留を来たした2例


仲村 勝, 小宮山 慎一, 石川 光也, 竹原 京子, 三上 幹男
国立埼玉病院産婦人科


 docetaxelは近年卵巣癌治療に導入されたtaxane系抗癌剤である.その主な副作用の特徴として骨髄抑制,全身倦怠感,消化器症状,末梢神経障害,過敏症,浮腫を含む体液貯留などが挙げられるが,体液貯留は累積投与量に依存して発生し,デキサメサゾン投与により予防可能と言われている.われわれはsalvage chemotherapyとしてのdocetaxel投与により胸水貯留を来たした2例を経験した.【症例1】61歳,卵巣癌(stage IIIc,漿液性腺癌)再発例に対し,weekly docetaxel療法(35mg/m2,day 1,8,15に投与.毎回デキサメサゾン8mg点滴静注の前投薬を施行.)を行なった.5コース終了後の胸部CTで胸水貯留を認めた.【症例2】58歳,卵管癌(stage IIIc,漿液性腺癌)再発例に対し,weekly docetaxel療法を行なった.7コース終了後の胸部CTで胸水貯留を認めた.いずれの症例も浮腫を含む他部位の体液貯留を認めなかった.投与を中止し精査したところ他疾患は否定され,かつ漏出性胸水(細胞診陰性,リバルタ反応陰性)であったため,原疾患の増悪によるものではなくdocetaxelの副作用と判断した.胸水穿刺ドレナージの後に外来にて経過観察中であるが,症例1は自然に,症例2はフロセミド内服によりいずれも胸水の減少を認めている.docetaxel投与時に胸水貯留を認めた場合,癌性胸水との鑑別に十分留意する必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 167-167, 2003


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