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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【ランチョンセミナー1(5階・オリオン)】
1.最近のクリニカルトライアルから学ぶ卵巣癌化学療法


落合 和徳
東京慈恵会医科大学・附属病院臨床腫瘍部


 卵巣癌は,罹患数当たりの死亡率が婦人科悪性腫瘍中もっとも高く,最近世界的に増加傾向にある.わが国における死亡率をみると1950年には人口10万対0.8であったのが約40年の間に5.4まで増加した.卵巣癌は抗癌化学療法が奏効し,延命に寄与することから古くからクリニカルトライアルが積極的に行われてきた.卵巣癌化学療法の歴史はクリニカルトライアルの変遷そのものといっても過言ではない.この間,卵巣癌の画期的な治療薬として登場したのはシスプラチンをはじめとするプラチナ製剤とパクリタキセル,ドセタキセルなどのタキサン製剤である.にもかかわらず,死亡率に減少がみられないのは,患者数が急激に増えていることにほかならない.婦人人口10万に対する訂正罹患率は1970年で2.8だったものが1985年には5.4と倍増し,さらに2000年には8.0,2015年には10.2と上昇の一途をたどるものと推測されている.
 予後改善のために,化学療法にも種々の工夫がこらされている.現在の標準化学療法はパクリタキセル(T)とカルボプラチン(J)の併用療法であるが,これにもう一剤加えたらさらに効果がますだろうか? TJにアンスラサイクリンやトポテカン,ジェムシタビンなどを加える3剤併用療法の試みがなされているが生存に寄与するまでには至っていない.さらにTJの基剤であるパクリタキセルをドセタキセルに置き換える試みもイギリスを中心に行われている.この両者間には現在までのところ生存率に差は認められないが,QOLとくに神経毒性の点でドセタキセル群によい結果が出ている.さらに腹腔内投与によりDose intensityを高めることも考えられている.初期の研究では腹腔内化学療法の優位性が報告されていたが最近では腹腔内投与による副作用のため,治療継続が困難になることもあり,日常診療の中に取り込まれるほど認知されているとはいい難い.また最近のICON studyではカルボプラチンの単剤でもTJと同等の効果があると報告しておりこの研究結果の解釈は慎重に行わなければならない.
このセミナーでは最近のクリニカルトライアルを取り上げ,化学療法の課題と今後の展望について概説する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 238-238, 2003


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