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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【シンポジウム 産婦人科の未病対策】
4.補完代替医療


鈴木 信孝
金沢大補完代替医療学


 補完代替医療は現代西洋医学を機軸としている.すなわち補完とは『西洋現代医学を補う』という意味であり,代替とは『もう一つの』という意味である.具体的にはビタミン・微量元素等のサプリメント,機能性食品・健康補助食品(抗酸化食品等),ハーブ療法,アロマセラピー,中国医学,鍼灸,気功,インド医学,食事療法,磁気治療,温泉療法,芸術療法,音楽療法等々すべてが包含されている.近年,インターネット等をはじめとする高度情報化の情勢もあり,これら代替医療を求める患者が急増している.代替医療の利用率は米国では成人の42.1%,日本では65.6%に及び,それぞれその61.5%,78.9%もの人が医師に相談なく実施している実態が知られている.さらに1997年の時点で,米国における代替療法実施者への外来回数はのべ6億2900万回に達し,かかりつけ医への外来回数3億8500万回を大きく上まわることや,利用者も米国の中心層を成す知識人が利用していることが明らかになっている.この様な状況に対し,1998年に米国医師会雑誌(JAMA)は代替医療をトピックとして特集し,NIHは国立補完代替医療センター(NCCAM)を設立し,国家的事業として代替医療の有用性を検討し始めた.現在,NCCAMには年間約130億円の国家予算が投入されており,メイヨクリニック,スタンフォード大学,ハーバード大学,カリフォルニア大学等にグラントが配付されている.さらに,ホワイトハウスは代替医療政策委員会を設置し,全米各地でシンポジウムを開催している.また,医学校の学生の強い要望に答え,現在全米の医学校125校のうち少なくとも75校(60%)で代替医療に関する講義も始まっており,アメリカ臨床癌学会(ASCO)等の学会でシンポジウムが開催されている.なお,鍼等の代替医療に対しては保険の給付も開始されている.一方,我が国では,日本補完代替医療学会をはじめとする専門学会が誕生し,聖マリアンナ医科大学,金沢大学等で代替医療の講義も始まっており,山梨県立看護大学では看護師に対する教育も行われている.また,昨年から今年にかけて日本緩和医療学会,日本癌治療学会,日本小児科学会,日本産業衛生学会,日本外科系連合学会等で代替医療のシンポジウムが開催され,日本医学会総会ではレクチャーも実施された.厚生労働省は2001年に『我が国におけるがん代替療法に関する研究班』を発足,文部科学省は平成15年度から代替医療を科学研究費のキーワードに採用した.疾病を分離・分析的に診る西洋医学を補完する形での補完代替医療,特に疾病を人間全体の“病み”と診る統合的医療が重要となる.代替医療と従来の西洋医学が相互に補完された医療こそが国民の求める医療ではないかと考えられる.このような背景を踏まえ,講演では産婦人科領域での代替医療の役割と産婦人科医師に有用な代替医療について具体例を示して言及する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 285-285, 2003


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