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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
骨盤腫瘍(2)
ダグラス窩への転移巣を伴い,婦人科悪性腫瘍やGISTと鑑別を要した,大網原発の巨大平滑筋肉腫の一症例


齋藤 文香1), 籠田 文夫1), 堤 麻衣1), 住友 理浩1), 小松 孝之1), 新井 一守2)
静岡県立総合病院産婦人科1), 静岡県立総合病院病理検査科2)


 平滑筋肉腫は,後腹膜,泌尿生殖器,消化管,軟部組織に好発するが,腹膜,とくに大網原発は稀である.本邦での報告は,演者らの知る限り66例であるが,婦人科でこれが治療された例は極めて稀である.今回我々は,卵巣癌,子宮肉腫またGIST(胃腸管間質腫瘍)との鑑別が困難であった,大網原発の平滑筋肉腫の症例を認めたので報告する.症例は44歳女性,2経妊2経産.下腹部の増大感と頻尿出現し,当院内科受診,CTで巨大腫瘍認め入院した.重症貧血(Hb5.3)で輸血施行した.MRIで内部構造不均一な充実性腫瘍で,卵巣癌疑いで当科転科となった.消化器癌の卵巣転移は精査により否定的で,原発卵巣癌もしくは子宮平滑筋肉腫を疑い開腹した.術中,大網に覆われた直径16cmの巨大な多結節性腫瘍を認め摘出した(2.5kg).腫瘍は大網動脈に栄養されていた.なお,腹腔内にはダグラス窩を含む径7cmまでの広範播種を認め,ダグラス窩腫瘍は摘出できたが,播種巣の完全摘出は不可能であった.一方,子宮,両側付属器は著変なく,巨大腫瘍とも非連続であった.巨大腫瘍は,組織学的に中皮に被包され,大網との連続性を認め,他に原発巣たるfocusがないことから大網原発と考えられた.またその組織像は,紡錐形細胞の増生巣からなり,核分裂像が多数散見された.GISTとの鑑別が問題となったが,免疫染色にて平滑筋肉腫と病理診断を得た.なお,播種巣もほぼ同様の組織像であった.現在外来経過観察中であるが,術後二ヶ月の時点で骨盤腔内への転移,播種巣の増大を認めている.本例の如く,腫瘍と大網との組織学的連続性を示した症例は文献上少なく,またGISTとの鑑別点も含めて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 321-321, 2003


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