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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
感染症
多量のgasを伴う巨大卵巣膿瘍の一例


沖 正直, 石川 智子, 兵藤 博信, 山田 学, 久具 宏司, 上妻 志郎, 堤 治, 武谷 雄二
東京大学産婦人科


 今回,多量のgasを伴う稀有な卵巣膿瘍の症例を経験したので報告する.症例は51歳,4経妊2経産,糖尿病合併の女性.発熱を主訴に近医受診したが,抗生剤で治癒せず約3ヶ月間,発熱・解熱を繰り返していた.その後他院にて腹部X線写真で腸管gasとは明らかに異なる下腹部全体にわたるniveau像を,CTでは骨盤内に,内部にair-fluid levelを形成する20cm大の腫瘤を認め,精査・加療目的に当院へ紹介された.腹部超音波では腫瘤内は音響陰影で広く覆われ,傍らに均質でやや高輝度な液体を認めた.白血球数・CRPの上昇もみられ,gas産生性細菌感染による附属器膿瘍を最も疑い,抗生剤投与を開始した.CTから腫瘤内gas量は211mlに及ぶと算出され,腸管・膀胱の原発腫瘍や附属器腫瘍との交通の可能性も考えたが,注腸造影及び膀胱造影などで否定された.炎症所見軽快後に開腹手術施行したところ,腫瘤は右卵巣原発,長径25cm,重さ3.2kgの嚢胞で,内容は無色無臭の気体と無臭の灰色不透明で粘稠度の低い液体であった.腸管・膀胱との浸潤・交通は認めなかった.内容液の培養でE. coliが検出された.病理診断はinfected hemorrhagic cystであった.今回の症例では腫瘤内gasの由来が最大の問題とされたが,術中所見より外気との交通があった可能性は否定的で,細菌によるgas産生が最も疑われた.文献的にはE. coliによるgasを伴った腎膿瘍などはこれまでにも報告されているが,卵巣膿瘍はこれまでに報告がなく非常に稀有な症例であった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 324-324, 2003


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