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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
性器病理
子宮動静脈奇形の一例


高荷 理子1), 鈴木 留美1), 石川 賀子2), 井嶋 真理3), 稲本 裕1)
遠州総合病院産婦人科1), 国立豊橋病院産婦人科2), 袋井市民病院産婦人科3)


 今回我々は閉経後の不正性器出血を主訴とし子宮cirsoid aneurysmと発覚し,手術にいたった症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】61歳女性.既往歴は13歳時に虫垂切除術.家族歴特記事項なし.妊娠歴は4経妊3経産.3回の正常分娩と1回の人工妊娠中絶あり.ただし,第3子出産時出血多量であった.平成14年10月9日から4日間不正性器出血があり前医産婦人科を受診.MRA等諸検査上子宮動静脈奇形と診断.動脈塞栓術もしくは手術を予定していたが,本人希望で11月1日当院初診.初診時子宮は鷲卵大,経膣超音波上cystic lesionが子宮頚部から体部にかけて多発していた.MRIでは子宮体部は多房性にみえる多数の血管構造により置換されており,正常内膜は同定不能.MRAでは左側優位に著明に拡張した卵巣静脈がdrainage veinを形成していた.同年11月25日子宮全摘出術+両付属器摘出術を施行.【術中所見】子宮は鷲卵大.触診上軟で血管腫様.特に左漏斗靭帯,左卵巣動静脈が腫大し瘤形成を呈していた.摘出子宮割面には筋層内に数個の拡張した血管を認めた.【検体病理所見】子宮動静脈吻合奇形.子宮頚部体部共に拡張した動脈静脈が増生し血管の太さも大小さまざまのものが混在しており,卵巣にても大小さまざまな動静脈が多数存在していた.【結語】子宮動静脈奇形は1926年に報告されて以来現在約80例ほどしか報告されておらず非常にまれな疾患である.症状としては過多月経,大量性器出血等がある.不正性器出血の原因と一つとして非常にまれではあるが子宮動静脈奇形の可能性も念頭におく必要があると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 337-337, 2003


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