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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))

【シンポジウムI 1.初産婦,児頭の下降度+2 cmでsevere variable decelerationが出現.こんな時どうする―確実な急速遂娩術の選択】
周産期1
2)超緊急帝王切開術への対応


下平 和久, 小出 馨子, 安藤 智, 松岡 隆, 市塚 清健, 大槻 克文, 関沢 明彦, 岡井 崇
昭和大学総合母子周産期センター


 産科診療において緊急帝王切開術の施行は日常業務の一環であるが,「超緊急帝王切開術」とは,その中でも特に緊急性の高いものをさすと考えられる.本演題では,「超緊急帝王切開術とは,方針決定後,他の要件を一切考慮することなく,直ちに手術を開始し,一刻も早い児の娩出をはかる帝王切開術である.」と定義し,到達点としては「帝王切開決定より児の娩出までは20分以内を目標とすること」とする.
 当科では平成15年4月に総合母子周産期センターを開設するにあたり,24時間体制の超緊急帝王切開術(Grade A帝王切開と呼称)への対応を必須のことと考え,分娩室(LDRシステム)の設計を含め,以下に述べるような準備を行った.1)分娩室への麻酔ガス配管及び麻酔器の設置.2)分娩室への麻酔セット及び帝王切開セットの配備.3)産婦人科医師の麻酔科,新生児科研修及び,病棟助産スタッフの手術手洗い研修.4)新生児科との連携強化.5)超緊急帝王切開手順の作成及び模擬患者による定期的な実施訓練.6)妊婦健診受診患者全員への,急速遂娩の可能性の説明と書面による事前承諾.
 また,的確にGrade A帝王切開を決定するために,分娩進行中の全患者の胎児心拍モニタリングをセンター内の各所(ナースセンター,医師勤務室,医師当直室等)で同時に監視する設備の整備と,医師,看護スタッフのモニター読解能力を維持向上させるための研修プログラムの整備も行った.
 以上の様にGrade A帝王切開への対応を計画したが,麻酔科医,看護スタッフの不足等もあり,人的資源の有効活用の観点より,当面はGrade A帝王切開も中央手術部で施行することとして,総合母子周産期センターをスタートした.そのための施策として以下のことを中央手術部と取り決めた.Grade A帝王切開宣言時は,1)中央手術部への無条件かつ即時の患者入室が可能なこと.2)術者の着替え及び手洗いを不要とし,緊急時の手順に従った手袋着用とガウンテクニックで代用すること.3)麻酔導入,患者消毒等に専用のプロトコールを設定すること.
 当センターでは平成17年3月までに合計1830例の分娩を行ったが,そのうち帝王切開は324例(17.7%)であり,Grade A帝王切開を宣言して行った超緊急帝王切開は7例(全分娩の0.38%)であった.これらについて検討すると,内訳は常位胎盤早期剥離5例,臍帯脱出2例(頭位x1,骨盤位x1)であり,帝王切開方針決定から児娩出までの平均時間は18.8分(最短15分,最長25分)であった.児の1分後アプガールスコアは0点,1点といった症例もあったが,いずれも5分後には4点以上に回復しており,全例が生存している.
 児娩出までの時間で律速段階となるのが手術室への移送時間であり,今後,LDRでの手術も含めて再検討していきたい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2) 132-133, 2005


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