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第109回学術集会(平成17年6月12日(日))

【ランチョンセミナー3】
がん放射線療法の新展開〜技術革新と薬物療法の併用でより有用な手段へ〜


唐澤 久美子
順天堂大学医学部放射線医学教室


 放射線療法とお聞きになると,皆様は,なじみがないしご自分には関係ないと思われるかもしれません.しかし,放射線療法は,がんの治療法として世界的にはがん患者様の約半数に利用されている方法です.欧米諸国ではその利点が理解され,更に多くの患者様に利用されるようになってきています.これは近年の技術革新とそれによる治療成績の向上によるものと思われます.画像診断の進歩に裏打ちされた3次元治療計画,定位手術的照射,定位放射線療法,粒子線治療,強度変調放射線療法(IMRT),小線源療法の多様化,あるいは化学療法や支持薬剤療法の併用などにより,既に手術に取って代わった疾患もあります.
 今までは,放射線療法の本邦でのがん患者への利用率は20%以下に留まっていました.手術の補助療法,手術できないものにしかたなく行なう治療で副作用が多く治らないなどとの誤解があったようです.しかし例えば子宮頸癌IIIB期での根治照射の5年生存率は全国平均でも50%で,さらに良好な成績をあげている施設も少なくありません.放射線療法が日本でのみ顧みられなかったのは,被爆後の日本人の放射線アレルギーと,そこから来る,人的,質的資源の欠乏の結果ではないかと思っています.実際,放射線治療の認定医は400人程しかおりませんし,認定技師の制度は発足したばかり,医学物理士は数十人です.放射線治療設備を有する病院は700程度ありますが,欧米のように一施設に10台以上の治療装置を有する施設はありません.先生方の中で学生時代に十分な放射線療法の講義を受けられた方はあまりいらっしゃらないのではないかと思います.さらに,画像診断でご承知のように,放射線医学の進歩は急速で,数年毎の知識では通用しなくなってきています.現代は,患者様がインターネットなどで医療情報を簡単に入手出来る状況で,十分なご説明をしないと後で訴えられたり,セカンドオピニオンで意見を聞かれる事も多くなるでしょう.日本だけグローバルスタンダードに無縁とはいかず,放射線療法の利用率は急激に上がって来ています.放射線療法に関して,知らないでは済まなくなって来ていると思われます.
 もしかしたら婦人科癌に限らず,ご自身やお身内で放射線療法を考慮する必要が生じてくるかもしれません.例えば,前立腺癌では,IMRTや小線源療法などの放射線療法が根治手術より有用な場合が多くなって来ていますし,乳癌では温存手術と組み合わせての放射線療法が標準治療として確立しています.
 当日は最新の放射線療法について簡潔にご説明したいと思います.この機会にぜひ放射線療法をご理解いただき,適切にご利用いただきたいと思います.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(2) 152-153, 2005


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