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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
妊娠分娩4
妊娠初期のトキソプラズマ感染が疑われた一例


大貫 裕子1), 川名 尚1), 松見 泰宇1), 堀谷 まどか1), 中林 稔1), 村田 照夫1), 青才 文江2), 西井 修1)
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科1), 千葉大学大学院感染生体防御学2)


 【緒言】今回我々は妊娠初期のスクリーニング検査でトキソプラズマIgM抗体が高値を示し,妊娠初期の感染が疑われた一例を経験した.当科におけるトキソプラズマIgM抗体陽性例の管理方針を含めて報告する.【症例】24歳未経妊.渡航歴や動物飼育・庭いじり等の経験はないが,妊娠2ヶ月頃に生肉摂食の既往がある.12週に施行したスクリーニング検査でトキソプラズマ抗体(PHA法);256倍(正常<160倍),IgG抗体;240IU/ml(<6.0IU/ml),IgM抗体;4.3IU/ml(<0.8IU/ml)が高値を示したため,妊娠初期の感染を疑われ,15週に当科紹介受診となった.感染の時期を推定するためにIgG抗体のAvidity Index;AIを測定したところ,AIが25.0%と低く,6ヶ月以内の感染が示唆された.また胎内感染を検索するためにPCR法で羊水中のトキソプラズマの検出を試みたが,陰性であった.患者はアセチルスピラマイシンを3週間内服し2週間休薬する方法を分娩まで行い,胎内感染の予防に努めた.これに加え,超音波断層法により胎児の脳室拡大・脳内石灰化・胎児水腫・IUGRの有無を頻回に精査したが,明らかな胎児異常は認められなかった.妊娠経過は順調で,38週2日に3058gの健常男児を分娩した.臍帯血のトキソプラズマIgG抗体とIgM抗体はいずれも陰性であり,出生後の児(生後3ヶ月まで)に明らかな異常は認めていない.【考察】妊娠初期のスクリーニング検査で異常を認めた場合,感染の時期を推定することは,その後の妊娠管理を行う上で重要である.今回,Avidity Indexの測定やPCR法による羊水中のトキソプラズマの検索が診断の補助となり,不必要な中絶を避け,妊娠の継続,健常児の分娩が可能であった貴重な一例を経験した.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 273-273, 2006


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