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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
悪性腫瘍その他1
外陰部に発生したエクリン腺癌の1例


吉田 有里1), 松島 隆1), 小西 英喜1), 佐藤 杏月1), 中井 晶子1), 松村 好克1), 西田 直子1), 金 栄淳1), 深見 武彦1), 可世木 久幸1), 朝倉 啓文1), 竹下 俊行2)
日本医科大学武蔵小杉病院産婦人科1), 日本医科大学付属病院産婦人科2)


 外陰部に発生する悪性腫瘍の多くは扁平上皮癌であり,外陰エクリン腺癌は非常に稀な疾患である.今回我々は,外陰部に発生したエクリン腺癌の1例を経験した.症例は53歳,1回経妊1回経産.4年前に外陰部腫瘤が出現したが,経過観察中に縮小したためそのまま放置していた.しかし,今年に入り再び外陰部腫瘤の発育と軽度疼痛を認めたため,精査・加療目的に当科紹介となった.視診では直径2cm大の充実性腫瘤がバルトリン腺に一致すると思われる部位にあり,触診では表面平滑,可動性は比較的良好であった.腫瘤はMRI上,2×2cm大でT1強調画像で均一な低信号,T2強調画像で高信号だが内部やや低信号で境界明瞭なmassを呈しており,悪性所見を認めなかった.生検をかねて腫瘍摘出術を施行した(出血量40ml).摘出検体は,診察・画像所見と同様2cm大で白色の充実性腫瘤であった.術後経過は良好であったが,病理組織検査にてエクリン腺癌と診断され,追加治療として両側鼠径リンパ節郭清術を施行した.摘出したリンパ節には肉眼的腫大は認めなかった.また,胸部〜骨盤部CTでも腫大したリンパ節および遠隔転移の所見は認めず,現在経過観察中である.
 エクリン腺癌は,眼瞼や頭皮などに発生することが多い疾患である.また,外陰部に発生する悪性腫瘍は扁平上皮癌が一般的である.よって外陰部に発生したエクリン腺癌は稀で,内外含め報告例が非常に少ない.文献的考察を加え報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 326-326, 2006


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