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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
婦人科疾患その他1
敗血症を繰り返し治療に苦慮した術後リンパ嚢胞の1例


三橋 祐布子, 伊東 和子, 千賀 彩加, 宮本 強, 芦田 敬, 塩沢 丹里, 小西 郁生
信州大学産婦人科


 婦人科悪性腫瘍手術でリンパ節郭清術後にリンパ嚢胞を発症する頻度は少なくない.その中でリンパ嚢胞に感染が生じ治療を要する場合がある.今回我々は子宮癌肉腫術後に巨大リンパ嚢胞が発生し,敗血症を繰り返した1例を経験したので報告する.症例は66歳,2回経妊2回経産,閉経38歳,2006年2月前医にて子宮体癌の診断で腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,骨盤内リンパ節郭清術を施行された.術後1ヵ月で左右後腹膜腔に巨大なリンパ嚢胞を認め,歩行困難な状態となり,リンパ嚢胞による圧迫により腎後性腎不全をきたした.リンパ嚢胞穿刺と透析にて腎機能は軽快するもリンパ嚢胞は縮小しなかった.術後3ヵ月で38度台の発熱と血圧低下を認め,リンパ嚢胞の感染による敗血症と判断した.抗生剤とエンドトキシン吸着療法でも軽快せず術後5ヵ月で当科転院となった.CTにて左右骨盤部から腹部の後腹膜腔に達する巨大なリンパ嚢胞を認め,右は胸腔内に達していた,嚢胞の圧排と長期臥床が原因と考えられる下肢深部静脈血栓症も認め,抗凝固療法を開始した.右嚢胞のドレーン留置を行ったところ膿が排出されるも,翌日より敗血症およびARDSを発症した.ICUにて呼吸管理を行いつつ抗生剤,エンドトキシン吸着療法を行い,全身状態の改善が得られたところで,左嚢胞にもドレーンを留置した.術後7ヵ月経過するもドレーンからの排液は減少せず硬化療法としてテトラサイクリンと,ブレオマイシンを嚢胞内に注入したところ,徐々に排液が減少し術後11ヵ月でドレーンを抜去した.左に径8cmの嚢胞が残るも感染徴候はなく,子宮癌肉腫の再発も認めていない.リンパ嚢胞の感染に対し治療に苦慮した1例であった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 164-164, 2007


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