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第116回学術集会(平成20年11月29日(土),30日(日))

【一般演題】
合併症妊娠4
骨盤内デスモイド腫瘍合併妊娠の一例


宮川 美帆, 武者 由佳, 太田 篤之, 薪田 も恵, 田中 利隆, 竹田 省
順天堂大学産婦人科


 desmoid腫瘍は分化度の比較的高い繊維芽細胞からなる腫瘍で,組織学的には良性だが,しばしば浸潤性に発育したり,再発を認めることが知られている.今回,我々は疼痛の管理に苦慮した骨盤内desmoid合併妊娠を経験したので報告する.症例は34歳2経妊1経産,24歳に左下肢の違和感を主訴に整形外科を受診し,骨盤内desmoid腫瘍を指摘された.第一子を出産後30歳で左下肢の歩行困難が出現したため,desmoid腫瘍摘出が行われた.その後,骨盤内に5cm大の再発腫瘍を認めていたが症状なく経過観察していた.33歳妊娠判明,超音波上骨盤内左側に5cm大のdesmoid腫瘍を認め,内診時左の腟壁から突出する固い腫瘤として触知された.妊娠13週より同部位の疼痛を訴えていたが,杖補助下に歩行は可能であった.妊娠週数を経るごとに疼痛の悪化と歩行困難が出現し,28週より松葉杖歩行となり,35週以降には筋拘縮が認められたため,管理入院となった.入院後,疼痛管理不能となったため,妊娠36週5日,腹式帝王切開術を施行し,2620gの女児を娩出した.妊娠期間中,症状は増悪を認めたものの,腫瘍径の増大は軽度であった.分娩後,徐々に疼痛は改善し,一ヶ月健診時desmoid腫瘍による疼痛は消失した.desmoid腫瘍はその25から75%にestrogen受容体が存在し,estrogen依存性に増大するとされており,妊娠中に腫瘍径の増大を認めた症例報告が多くなされている.今回,妊娠中の腫瘍の増大は軽度であるにもかかわらず,疼痛の増悪が著しく,疼痛管理困難となった.妊娠中のdesmoid腫瘍は腫瘍径の増大の有無に関わらず,症状が増悪することが示唆された.desmoid腫瘍と妊娠について文献的考察を含め報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 263-263, 2008


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