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<< 学会誌へ戻る 【緒言】今回，超音波及び肉眼的所見が典型的な胞状奇胎でなく，臨床症状から子宮外妊娠として開腹術を施行したが，最終的に病理診断で部分胞状奇胎であった症例を経験したので報告する．【症例】38歳，7経妊5経産．妊娠歴：2回の人工中絶，分娩はすべて満期正常産であった．既往歴，家族歴に特記事項なし．妊娠反応陽性のため当院受診．初診時妊娠6週5日，子宮内胎嚢確認できず．8週5日子宮内胎嚢認めず，尿迅速hCGは21839mIU/ml．子宮内に凝血塊様の貯留物を認めた．胞状奇胎もしくは子宮外妊娠を念頭に外来で慎重に経過観察を行った．9週3日腹痛，性器出血が出現．ダグラス窩に2cmの液体貯留を確認し子宮外妊娠の疑いにて緊急手術を方針とした．胞状奇胎除外のため，子宮内容除去術を施行．肉眼的に絨毛類似組織は認めず，ダグラス窩穿刺にて非凝固性の血液が吸引されたため，開腹手術に移行した．術中，肉眼的に左卵管膨大部腫大を確認し，左卵管切除術を施行した．病理所見で，左卵管妊娠は否定され，子宮内容物は絨毛の水腫様変化であった．術後のhCG低下は不良であった．10週4日，一部絨毛を含むと思われる膜様物を自然排出し，病理検査で最大径1.7mm大の顕微鏡的奇胎と診断された．再度子宮内容除去術を施行し，絨毛の残存はなかった．その後はhCGの低下も良好で経過は順調である．【結語】腹腔内に液体貯留を認め，胎嚢を認めない場合，子宮外妊娠を疑うのは当然であるが，hCGが極めて高値の場合，診断が困難である顕微鏡的奇胎の可能性があることを念頭に診療をすすめていくことが重要である． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(3) 286-286, 2008 |
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