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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【シンポジウム1】
産科における超音波診断
3D・4D超音波


馬場 一憲
埼玉医科大学総合医療センター教授


 胎児形態異常の大半は,従来の超音波断層法で診断することができる.しかし,立体構造の把握が困難であったり診断に適した断面が得られにくかったりして,診断に苦慮する場合も少なくない.3次元超音波(3D超音波)はコンピュータに取り込んだ3次元空間の情報(データ)を基に,様々な種類の3次元像を表示したり,任意の断面を表示したりすることが可能なため,超音波断層法の欠点を補完するものとして産科臨床において重要な地位を確立しつつある.
【3次元超音波による画像】
 20年以上前に胎児の3次元像(静止画)が初めて出現した時代は,1枚の3次元像を構築するのに数分を要していたが,その後のコンピュータの飛躍的な進歩により,より詳細でリアルな3次元像がほぼリアルタイムに構築・表示されるようになった.3次元像を次々に構築して表示することにより,実際の胎児の動きに合わせて動画として表示することができるようになり,これを画像としての3次元に動き(時間)の次元が加わったとして,4次元超音波(4D超音波)と呼ぶこともある.
 3次元超音波では,3次元像を回転させて様々な方向から観察したり,不要な部分を除去して対象物を明瞭に描出させたりすることもできる.また,胎児の表面表示だけでなく,骨格や嚢胞部分など多彩な3次元像を表示することもできる.
 3次元超音波では,コンピュータ内に取り込まれた3次元空間のデータを基に,元の断面とは異なる任意の断面を構築して表示することもできる.また,カラードプラ法やパワードプラ法を応用することで,血流の3次元表示を行うことも可能である.
【3次元超音波が有用な胎児形態異常】
 目と耳の高さを比較しなければならない耳介低位の診断のように,超音波断層法では困難な診断も,3次元超音波による表面表示で容易に診断できる.Overlapping fingersや内反足などの四肢の異常の診断にも3次元像が有用である.尿路や消化管の閉塞や狭窄によって出現する嚢胞性の病変が,多胞性の病変か連続した管腔構造物であるかは,3次元像によって容易に判別できる.
 動きの激しい心臓大血管は3次元超音波の対象外であったが,3次元超音波技術の進歩により,現在では心臓大血管異常の診断にも3次元超音波が応用されるようになった.
 脳梁欠損のように頭部の正中矢状断面を表示する必要がある場合でも,超音波断層法では,その断面の表示が困難なことが多い.3次元超音波では,取り込んだ3次元データを基に,正中矢状断面などを構築して表示することが容易にできる.
【3次元超音波の問題点】
 胎児体表の明瞭な3次元像が得られない場合があること,胎動により画像に歪が生じること,超音波断層法以上にアーチファクトが多く存在することなど,3次元超音波を臨床応用するうえで,いくつかの問題があり,注意が必要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 130-130, 2009


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