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第117回学術集会(平成21年6月14日(日))

【一般演題】
悪性腫瘍,その他1
クルッケンベルグ腫瘍と子宮頚部上皮内癌の重複癌の1例


有澤 正義1), 佐久間 有加2), 藤村 尚代2), 石毛 英男2), 遠藤 信夫2)
千葉労災病院病理1), 千葉労災病院産婦人科2)


 クルッケンベルグ腫瘍は転移性卵巣癌であり,稀と考えられている.原発巣は約80%が消化管であると報告されている.今回われわれは,子宮頚部のcarcinoma in situ(以下CISと略す)にて単純子宮全摘術に発見された転移性卵巣腫瘍を経験したので報告する.症例は60歳2回経産婦.身長は147cm,体重は56kg.既往歴では13年前に乳癌の手術歴がある.乳癌の組織型は浸潤生乳管癌,亜型は硬癌であった.リンパ節転移も認められた.乳癌に対し,化学療法,ホルモン療法が施行され,その後の再発はないと考えられていた.手術後13年,検診時の子宮頚部細胞診でclassIIIのため,組織診を施行.組織診は扁平上皮癌であった.単純子宮全摘術および両側付属器摘出術を施行した.右卵巣は2x1cm,左卵巣は3x1.5cm大で両側卵管は軽度腫大していた.病理組織学的に,頚部の12分割検索ではCIS.両側の卵巣,卵管に既往の乳癌と同様の組織像を示す癌の転移を認めた.免疫染色では原発巣と同様の,CK7陽性,CK20陰性,ER陽性,PgR陽性,HER-2陰性という結果であった.子宮頚部,体部,内膜は卵巣および卵管に転移している乳癌と同様の組織像であった.子宮では乳癌のリンパ管内への浸潤を認めた.以上より乳癌のクルッケンベルグ腫瘍だけでなく,子宮への乳癌の転移およびCISの重複癌と診断した.クルッケンベルグ腫瘍と同様の癌の転移が子宮全体におよぶことは珍しい.CISを合併する重複癌の報告は大変稀である.組織像,文献的考察を加え報告いたします.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(2) 183-183, 2009


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