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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))

【一般演題】
不妊症
子宮溜血腫,卵管溜血腫を呈した重複子宮,重複腟(Wunderlich症候群)の一例


秋山 育美, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中川 圭介, 矢部 慎一郎, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば医療センター産婦人科


片側の腟閉鎖と同側腎欠損をともなった重複子宮,重複腟はまれな疾患で,その診断は困難であることが多い.今回我々は子宮溜血腫,卵管溜血腫を呈した重複子宮,重複腟で最終的にWunderlich症候群と判明した一例を経験したので報告する.症例は16歳で初経時よりの月経困難症と下腹部痛を主訴に前医受診した.ここで下腹部腫瘤を指摘され左卵巣嚢腫の診断で手術(卵巣嚢腫摘出術および卵管切除術)を施行した.この時の術後診断も同様であり子宮奇形に関しては指摘されていない.この手術にもかかわらず,月経困難症は改善しなかったため当科受診となった.経腹超音波断層検査により3つの嚢胞性腫瘤像が描出され,骨盤MRI検査では重複子宮と左子宮体部および頸部または腟の液体貯留,さらに左付属器領域に嚢胞状構造を認めた.DIPでは左腎が欠損していた.以上より左子宮溜血腫,頸部または腟溜血腫,左卵管溜血腫または卵巣嚢腫と診断した.治療方針として前医の手術情報から患側の子宮での妊娠は不可能と判断されたため,最初から開腹での左側子宮摘出・左付属器腫瘍摘出術を予定した.腹腔内の左側骨盤腔は高度に癒着しており,これらを剥離してようやく3つの腫瘤が子宮体部溜血腫,子宮頸部溜血腫および左卵管溜血腫であることが明らかとなった.子宮頸部溜血腫の尾方に対側の腟との交通を認めない重複腟が存在し,これは左子宮頸部とも交通は認めなかった.以上の所見より,本症例がWunderlich症候群と診断された.手術は左子宮全摘+左卵管切除+左腟切除術を施行し,現在経過順調である.本症例の経過に文献的考察を加えて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3) 311-311, 2009


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