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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【症例から学ぼう】
不妊症


峯岸 敬
群馬大学産科婦人科


 生殖補助医療の進歩により,不妊症の治療法としての手段が拡大したことは歓迎されるべきことであるが,不妊症の原因が多彩であり,複数の不妊因子を合併していることも多いので系統的なスクリーニング検査が必要である.
 少子高齢化を迎えて,不妊症治療実際に対する理解の必要性が高まっているなかで,生殖補助医療の進歩が不妊症治療に対して多く影響を与えている.特に男性不妊症の診断は最終的に泌尿器科の医師の協力を仰ぐことになるとしても,不妊症の原因の30%程を占めることを考慮して,婦人科医としても理解しておく必要がある.生殖補助医療の進歩により特発性精子形成障害例においても精巣内精子採取により少数でも精子が採取できれば,卵細胞質内精子注入法(ICSI)を用いることで授精が可能である.このため,一般的不妊症診断の手順と男性因子を考慮した系統的検査が治療の効率化につながると考える.
 排卵因子の治療に関しては,ホルモンによって制御されている機構,例えばエスロトロゲンのポジティブフィードバックによる排卵現象とその後の黄体形成によるプトゲステロン分泌に起因する高温相の時期などを理解した上での検査と治療になる.排卵障害が原因と考えられるときは,排卵誘発剤の使用を考慮するが,排卵誘発剤による重大な副作用として,卵巣過剰症候群と多胎妊娠があることを念頭において使用する必要がある.卵巣過剰刺激症候群にたいする対応については,婦人科外来ガイドラインでも取り上げられ議論されているので,参考にしていただきたい.
 不妊治療法の選択は,患者さんに負担のすくない簡便なものから開始するのが原則であり,原因の検索法が優れていれば,病態に適した治療法が選択されるはずであり,安易に生殖補助医療に移行するべきではない.しかしPCOSの症例のように薬剤に対する反応性が多様な病態では,排卵誘発法に使用する薬剤の使用法によっては,多胎妊娠などの合併症を起こす可能性があり,症例毎にインフォームドコンセントの後に最適と思われる治療法の選択をしていく必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 191-191, 2010


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