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<< 学会誌へ戻る 【諸言】今回，肝下面に着床した異所性妊娠を経験したので，その診断および治療の方針について報告する．【症例】30歳台，0回経妊．クロミフェンおよび人工授精にて妊娠が成立したが，異所性妊娠の疑いで前医へ紹介となった．妊娠8週4日に尿中hCG 7571IU/lへ上昇あり，経腟超音波検査と骨盤MRI検査では妊娠の部位は検出できなかったが，正常妊娠でないことは明らかなため，試験開腹及び子宮内容除去術が施行された．その後再度子宮内容除去術が行われたが，hCG値が下降しないため妊娠10週3日当科に受診となった．当科初診時は，尿中hCG 7599IU/l，経腟超音波検査で子宮および付属器領域に胎嚢像を認めず腹腔妊娠を疑った．腹痛などの症状も認めなかった．腹部CT検査を行い，肝右葉後区域の表在に1.5cmの腫瘤を認めた．腹部MRI検査でも同様の所見を認め，経腹超音波検査ではwhite ring状の胎嚢と思われた腫瘤内に卵黄嚢や胎児心拍は認めなかった．上記所見より肝下面に着床した異所性妊娠と診断した．治療法として手術を検討したが，肝下面に着床した胎嚢を摘出した場合，肝臓から止血困難な出血が起こる可能性を考慮し，本症例では全身化学療法を選択した．メソトレキセート（MTX）全身投与を1コース行った．MTX投与開始13日目には尿中hCG 324IU/lと低下し，開始後30日目には月経が再開し，その後病巣も消失した．【結論】本症例のように上腹部の異所性妊娠の場合は，腹部CT検査が診断に有用であると考えられた．また肝など血流が豊富な臓器への異所性妊娠の場合は，摘出手術は侵襲が大きいと予想されるためMTXの全身投与が有効であると考えられた． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 205-205, 2010 |
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