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<< 学会誌へ戻る 腹腔妊娠は異所性妊娠の約1％で生じるといわれ，約1万例の妊娠に1件の割合で発生する稀な疾患である．特有な臨床所見を示すことが少ないため，術前診断や早期診断が困難な場合が多い．治療法としては，従来は開腹術によるものがほとんどであったが，最近では腹腔鏡下での診断・治療が広まりつつある．我々は，当院において経験した腹腔妊娠の症例を報告し，腹腔妊娠の診断・治療について考察したので報告する．症例1は33歳（1経妊1経産）．基礎体温上妊娠6週5日に尿中hCG値8000単位陽性であったが，子宮内に胎嚢を認めず左付属器領域に胎嚢様所見を認め，異所性妊娠を考え，腹腔鏡下手術を施行した．両側付属器は正常だったが，子宮体部後壁に径2.5cmの胎嚢を確認し，同部を切除．病理組織検査にて絨毛を認めた．症例2は27歳（0経妊0経産）．最終月経より妊娠7週において，尿中hCG値2000単位陽性だったが，子宮内に胎嚢を認めず付属器領域には所見を認めないもののダグラス窩に少量の貯留液があり，異所性妊娠を考え，腹腔鏡下手術を施行した．両側付属器は正常だったが，ダグラス窩腹膜に径1cmの暗褐色の病巣を確認し，同部を切除．病理組織検査にて絨毛は確認できなかったが，合胞性栄養膜細胞を認めた．以上より，これらの2例は原発性腹腔妊娠と診断した．また，大網妊娠が示唆された症例も経験したが，腹腔鏡下手術にて病巣切除しえた．腹腔妊娠の術前診断は困難であり，多くは卵管妊娠や，病巣部位不明のまま腹腔鏡にて診断しうる場合が多い．治療にあたっては，妊娠初期で病巣が小さい場合には，腹腔鏡下にて治療しうることが可能と考えられた． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 207-207, 2010 |
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