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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
合併症妊娠@
・1型糖尿病合併妊婦に脊髄梗塞を発症した一例


杉原 武, 笹森 幸文, 岸本 倫太郎, 鎌田 英男, 市田 宏司, 梅澤 幸一, 田口 彰則, 司馬 正浩, 木戸 浩一郎, 梁 栄治, 綾部 琢哉
帝京大学産婦人科


【緒言】妊娠,産褥期は,血栓塞栓症の好発時期であり,肺,脳,下肢はもちろん,全身の血管,たとえば脊髄動脈においてもその例外ではない.今回,我々は1型糖尿病合併妊娠の妊娠中期に下肢の感覚障害を来し,脊髄梗塞と診断した症例を経験したので報告する.
【症例】38歳,2経妊1経産(1児は妊娠高血圧症候群で37週に帝王切開).14歳から1型糖尿病でインスリン自己注射を行っていた.妊娠17週1日,左下半身の感覚障害と痺れ,運動障害を訴え外来受診し,脊髄疾患,多発性硬化症などが疑われたため当院神経内科に入院した.左第4胸髄以下の感覚鈍麻,異常感覚,左下肢深部感覚低下と左下肢錐体路障害を認め,MRI検査所見上T2強調画像で第1胸髄左側に淡い高信号を認めたため,脊髄炎あるいは脊髄梗塞を疑った.ステロイドパルス療法及び低用量アスピリン投与を開始し,若干の症状改善を認めたが,左下肢感覚鈍麻,異常感覚は残存した.髄液検査,その後のMRI検査から脊髄梗塞と診断した.神経症状の変化はなく退院となった.胎児発育は良好で,妊娠37週1日,前回帝切の適応で帝王切開術を施行した.児は2638g,Apgar score1分値7点5分値9点,UApH 7.296.糖尿病母体児のためNICU管理となったが,明らかな奇形や異常所見は認めなかった.現在は,低用量アスピリンの内服を中止しているが,下肢の感覚鈍麻と排便時違和感は残存している.
【結語】糖尿病発症から25年経過しているために動脈硬化が存在し,加えて妊娠による生理的変化が脊髄梗塞を来したと考えられた.糖尿病は神経病変を伴うが,発症が急激であった場合は潜在する血管病変を背景とした血栓塞栓症も鑑別に含めるべきと思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 223-223, 2010


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