関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
子宮内膜症・良性腫瘍
・術前診断に苦慮した妊娠初期に脱落膜変化した子宮内膜症性卵巣嚢胞の1例


宮坂 亞希, 川名 敬, 藤井 知行, 大須賀 穣, 中川 俊介, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学女性診療科・産科産婦人科


【緒言】子宮内膜症性卵巣嚢胞は妊娠によって大きさや形態が変化することが知られている.今回,妊娠後に子宮内膜症性卵巣嚢胞が増大傾向を示し,乳頭状結節を呈したために卵巣癌が疑われた1例を経験したので報告する.【症例】36歳0経妊0経産.妊娠直前に月経困難のため近医を受診し,2cmの左子宮内膜症性卵巣嚢胞を指摘されていた.妊娠初診時(7週),内部に乳頭状充実部を伴う5cm大の左嚢胞性卵巣腫瘤を認め,悪性が疑われたため当院へ紹介された.経腟超音波では,全体で63×37×53mmの2房性の嚢胞を認めた.両嚢胞内腔全周に連続した辺縁不整な隆起性の病変が見られ,最も高い隆起は8mmほどであった.血流は全体的に豊富で隆起性病変内部よりは隔壁内に血流が多く,RIは概ね0.5台であった.腫瘍マーカーはCA19-9 47U/ml,CA125 43U/ml,CEA 1.4ng/ml.MRIではT2W1で淡く高信号,胎盤に近い信号であり,脱落膜化も考えられたが,悪性の完全な否定は困難であった.また奇形腫の所見も認めなかった.診断確定のため妊娠12週で脊椎及び硬膜外麻酔下に左付属器切除術と部分大網切除術を施行した.手術所見としては左卵巣の6cm大の嚢胞状腫瘤が骨盤と癒着し,内容液は暗褐色調の漿液,別の房は脂肪と毛髪成分を含んでいた.摘出物病理検査では子宮内膜症性卵巣嚢胞の脱落膜変化及び成熟嚢胞奇形腫の診断であった.術後経過良好のため6日目に退院,妊娠経過は順調である.【結語】現存の診断法では,術前に子宮内膜症性卵巣嚢胞の脱落膜変化と悪性腫瘍を鑑別することは困難で,慎重な取り扱いが肝要と思われる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 234-234, 2010


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会