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<< 学会誌へ戻る 近年，若年女性に発症する急性非ヘルペス性辺縁系脳炎の1つとして，抗NMDA抗体産生により発症する傍腫瘍性辺縁系脳炎が明らかとなり注目されている．今回我々は，免疫療法等に対しては反応不良であったが，卵巣腫瘍摘出後に著明な改善を認めた急性辺縁系脳炎の1例を経験した．症例は13才女児，0経妊0経産，特記すべき既往症はなかった．2009年5月25日，発熱，頭痛の前駆症状を認め近医を受診した．1週間後解熱したが，異常行動と見当識障害を発症し改善を認めず，6月8日当院小児科を紹介受診となり，人工呼吸管理下に入院加療が開始された．入院2日目施行の髄液検査，頭部MRI所見，PCRより非ヘルペス性辺縁系脳炎を考え，脳炎の治療として，ガンマグロブリン投与，ステロイドパルス療法，血漿交換等が施行されたが治療効果に乏しく，発熱が持続し，コントロール不良の痙攣と不随意運動を認めた．その後の画像診断で，1cm大の右卵巣奇形腫の合併が判明し，傍腫瘍性辺縁系脳炎を強く疑い，7月30日，右付属器切除術及び左卵巣楔状切除術を施行した．一部に中枢神経組織を有する成熟奇形種であった．術後は，術後4日目に抜管となり，術後2－3週から会話可能となり，神経学的所見及び全身状態の急速な改善を認めた．その後も順調にADLの改善を認め，10月7日に退院となった．現在，中学校通学を再開し，入院前のADLへほぼ改善している．本症例の詳細と共に，文献的考察をまじえてここに報告したい． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 240-240, 2010 |
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