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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
悪性腫瘍A・婦人科感染症
・卵巣癌を疑われながらも,保存的に治癒した骨盤内放線菌症の2例


浅香 亮一, 品川 光子, 窪田 文香, 山田 香織, 高木 緑, 矢島 修, 高木 靖
諏訪赤十字病院産婦人科


放線菌症はActinomyces属による慢性化膿性肉芽腫性感染症である,婦人科領域ではIUD使用者の13.3%に検出されるという報告があり,発症例は長期装着者に多い.また,腫瘤を形成すると卵巣癌などとの鑑別が問題となる.一般には手術で切除され,術後に放線菌症と判明し,抗菌薬を投与される例が多い.今回,卵巣癌を疑われた症例に放線菌の存在を証明し,保存的治療で治癒した2症例を経験した.症例1:51歳,右下腹部痛を訴え,右付属器領域に59mmの腫瘤と子宮内にIUD(10年以上留置)を認めた.炎症反応を認めたが腫瘍マーカーは正常値であった.IUDから放線菌が検出され,ABPC 4g/日を13日間,PCG 400万単位/日を5日間投与し,6か月後に腫瘍は消失した.症例2:58歳,左下腹部痛と発熱で受診し,左付属器領域に53mmの腫瘤と子宮内にIUD(期間不明)を認めた.軽度の炎症反応があり,CA19-9:66U/ml,CEA:6.3U/mlと軽度上昇を認めた.IUDより放線菌が検出され,PCG1000万単位/日を14日間投与し,約1年後に腫瘍は消失した.2症例ともPETを含めた画像検査では,悪性腫瘍との鑑別が困難と考えられるが,IUD長期使用歴,放線菌の検出,腫瘍マーカーの値,治療中の厳重な経過観察,患者本人の理解などの条件が揃い侵襲的治療を回避できた.IUD使用歴のある骨盤内腫瘍では放線菌症も念頭に置き,保存的治療の可能性を検討すべきと考えられた.尚,海外文献による抗菌薬の推奨用量は本邦に比べ著しく大量だが,症例1が治癒したことからも,適切な投与量の確立が今後の課題と考える.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 272-272, 2010


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