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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))

【一般演題】
悪性腫瘍A・婦人科感染症
・卵巣癌が疑われた性器結核の1例


片山 素子, 松本 浩範, 上原 彩子, 矢島 正純, 岩下 光利
杏林大学産婦人科


性器結核はまれな疾患であるが,しばしば腹腔内播種や結節を生じ,肉眼的に悪性腫瘍と同様の所見を呈することがある.今回,我々は卵巣癌を疑い開腹手術を行ったが,病理検査にて結核性腹膜炎と診断された1例を経験したので報告する.症例は,37歳,月経不順を主訴に近医受診.子宮の頭側に径7cm大の腫瘍を指摘され当院紹介となった.超音波検査では径7cm大の充実性一部嚢胞性の腫瘍を認めたが腹水は認めなかった.腫瘍マーカーはCA125が61U/mlと軽度上昇を認めた.MRIにて6×3×6cm大の嚢胞性で壁の肥厚した充実性部分を含む腫瘍を認め,CT上,骨盤リンパ節腫大もみられた.卵巣癌を疑い開腹手術を施行.開腹所見は,両側卵管采に付着するように約6cm大の腫瘤を認め,左卵管も硬く触知され,腹膜や腸管表面にも大小様々な播種結節を認めた.左付属器・腹膜播種巣・外腸骨リンパ節を摘出し迅速組織診を施行したところ,類上皮肉芽腫の診断であり結核を疑う所見であった.ツベルクリン反応は軽度陽性,クォンティフェロン(QFT-TB)判定は陽性であり,病理診断にて類上皮性肉芽腫を多数認め,結核性腹膜炎と診断された.術前に卵巣癌と誤認された付属器腫瘍は正常卵巣卵管を含む結核性肉芽腫であった.腹水,胃液からは結核菌は検出されず,胸部レントゲン上も異常なく排菌はないものと考えられた.術後,結核に対する治療として3剤併用療法を行っている.結核性腹膜炎は胸部に活動性病変を合併する率は低く,臨床症状も特異的なものが少ないため術前に診断されることは極めて困難であるが,癌性腹膜炎を疑った場合には鑑別すべき疾患の一つであると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2) 272-272, 2010


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