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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【教育セミナー2】
機能性卵巣嚢胞


生水 真紀夫
千葉大学大学院生殖機能病態学


 機能性卵巣嚢胞(functional cyst)は,臨床的に最もよく遭遇する疾患のひとつである.産婦人科医師として,その診断や取り扱いには十分習熟しておく必要がある.
 機能性という言葉はさまざまな場面で用いられるが,卵巣嚢胞の前につけて“機能性卵巣嚢胞”として用いる場合には,内分泌周期と関連して発生し自然に消退するという意味で用いられる.真性腫瘍を区別するために,臨床の場では頻用される用語である.卵巣腫瘍取り扱い規約では,類腫瘍(tumor-like conditions)という用語があてられているが,こちらの用語を臨床の場で用いている医師は少ない.なお,卵巣腫瘍がホルモン分泌活性を持つ場合に,functioning cystと表現されることがある.この場合には「内分泌活性を有する」嚢胞と和訳するほうが誤解が少ないであろう.
 卵巣に単房性嚢胞を認めた場合には,まず機能性嚢胞を疑って除外診断を行う.病歴や症状の有無,画像所見などから機能性嚢胞を除外できた場合に,腫瘍性疾患としての鑑別を進める.嚢胞をみて,いきなり上皮性だろうかとか性索間質性だろうかなどと考えてしまうと,機能性嚢胞を見逃してしまう.最初に行うべきは,機能性嚢胞の除外であることを銘記しておく.
 一般診療の現場では,単房性嚢胞が腫瘍性である確率よりも機能性である確率のほうが高い.すなわち,機能性嚢胞である事前確率が高い.とりわけ,検診などの際に偶然発見された有経者の単房性嚢胞で,比較的小さなものはそのほとんどが機能性である.この点からも,最初に念頭におくのは機能性嚢胞ということになる.
 このように,「機能性嚢胞」という用語は臨床的に大切な概念であるが,わが国の教科書にはあまり記載がない.厳密な定義もないようである.おおむね卵胞嚢胞・黄体嚢胞・ルテイン嚢胞などが含まれる.欧米の教科書には,チョコレート嚢胞を含めているものもある.
 本講演では,後期研修医を対象に私の経験例をもとに機能性嚢胞の診断におけるpitfallについて解説する.
 ・卵胞嚢胞
 ・黄体嚢胞とルテイン嚢胞
 ・OHSS
 ・LUF
 ・閉経期の卵胞嚢胞
 ・胎児の卵胞嚢胞
 ・クロミフェン投与時の卵胞嚢胞
 ・luteioma of pregnancyとhyperreactio luteinalis
 ・Massive ovarian edema


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 299-299, 2010


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