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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍2
高血糖と低血糖を繰り返し生じたソマトスタチン産生卵巣腫瘍の一例


中西 美紗緒, 田口 歩, 櫻橋 彩子, 大垣 洋子, 折戸 征也, 水主川 純, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療研究センター病院産婦人科


ソマトスタチン産生腫瘍は稀な内分泌腫瘍で,現在までに産生部位が卵巣腫瘍であった報告は世界で1例のみである.今回,高血糖と低血糖を繰り返す血糖変動パターンを呈する糖尿病を契機に発見され,奇形腫を背景にもつソマトスタチン産生卵巣腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は,68歳,4回経妊2回経産.2008年前医にて甲状腺癌の手術後,2009年に嗄声を認め,血糖コントロールが極めて困難なため,低・高血糖の原因精査,卵巣腫瘍手術目的にて当院紹介入院した.内科による精査の結果,血糖変動の推移よりインスリンおよびグルカゴンの両方の分泌低下が推測され,ソマトスタチンの過剰分泌が原因である可能性が考えられた.腹部CT上,消化管・膵臓などに異常所見はなく,血流豊富な右卵巣奇形腫が疑われた.周術期に対応した血糖管理を行い,2010年腹式単純子宮全摘出術,両側付属器切除術を施行した.病理組織学的検査では,卵巣腫瘍はstrumal carcinoidの所見で,免疫染色では充実性部分にソマトスタチン陽性が確認された.嚢胞部はdermoid cystであった.また電子顕微鏡検査でも,neuroendocrine cell tumorと診断され,顆粒の超微形態もソマトスタチノーマとして矛盾しない所見が認められた.血中のソマトスタチン濃度は異常高値であり,最終的にソマトスタチン産生卵巣奇形腫と診断された.腫瘍摘出後,血糖値は安定し,急激な低・高血糖変動は消失している.ソマトスタチン産生腫瘍は,主に膵臓や十二指腸に多いとされているが,今回,卵巣が主座であるごく稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 320-320, 2010


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