関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
婦人科その他
腹腔内異物のように描出された油性造影剤の長期遺残の1例


後藤 美希, 山口 俊一, 兵藤 博信, 大須賀 穣, 亀井 良政, 藤井 知行, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学産婦人科


油性造影剤は,この数十年間子宮卵管造影などに用いられているが,生体への吸収が遅く体内に長期間残留することがある.腹部単純写真やCTでは金属片とほぼ同濃度であり,思わぬ情報の混乱を来すことがある.今回我々は,帝王切開術後の腹部単純写真で手術時の異物混入を疑ったが,油性造影剤の長期遺残と判明した症例を経験した.症例は39歳,1経妊1経産,IVF-ET妊娠.手術歴なし.妊娠30週2日,前置胎盤のため周産期管理目的に当科初診.妊娠32週2日より管理入院,妊娠37週2日選択的帝王切開術を施行した.術後の腹部単純写真で,骨盤内右側に,全体として2×1cm大の,辺縁がやや不整で楕円を集めた様な形の高濃度像を認めた.手術時の異物混入を疑い,器械,ガーゼを改めて確認したが,遺残,破損はなかった.腹部CTでは,ダグラス窩右側に金属と同吸収域の陰影を認めたが,内診,直腸診にて同部位に金属などの固形の異物と考えられるものを触知しないため,経過観察とした.妊娠中に前置胎盤精査目的で施行したMRIを見直すと,同部位には脂肪と同様の信号を認めていた.CT,MRIの所見から,油性の造影剤を考えた.改めて病歴聴取をしたところ,子宮卵管造影検査の既往があった.施行した施設に問い合わせると,使用した造影剤は油性であり,画像を比較すると,検査時の造影剤貯留が今回の異物像と一致した.術後の確認のための単純写真など広く行われている画像検査に対して,造影剤の長期遺残が混乱を招いた.術前の問診では造影剤を用いた検査の既往も重要であり,既往がある場合,術前に検査時の画像を確認するか,同部位の撮影を行うことが必要と考える.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 366-366, 2010


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会