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【特集】
腹腔鏡下に一期的に治療し得た直腸脱合併直腸瘤の一例


中西 一歩1), 市川 雅男1), 明楽 重夫1), 竹下 俊行1), 鈴木 英之2)
1)日本医科大学付属病院女性診療科・産科, 2)同 外科


 直腸脱は子宮脱などの骨盤臓器脱と合併し,一期的な手術が必要な時がある.今回我々は直腸脱を併発した直腸瘤に対し,同時に治療した症例を経験したので報告する.症例は72歳2回経産婦.臓器脱出感を主訴に来院.膀胱瘤・小腸瘤はなく,直腸瘤4度と診断した.既往に子宮脱にて腟式子宮全摘術と前後腟壁形成術を受けていた.手術待機期間中にペッサリーで整復し経過観察していたが,自宅にて約20 cmに及ぶ直腸脱を発症したためペッサリーを抜去し直腸脱を還納し腹腔鏡による一期的な手術を予定した.臍部より腹腔鏡を挿入し気腹を開始.トロッカーは両側下腹部と下腹部正中に計3か所刺入.メッシュはモノフィラメントのポリプロピレンメッシュを使用した.まず岬角の高さで左右直腸間膜を切開し,直腸後腔を開放.非吸収糸を1針仙骨の岬角にかけて留置した.尾側は恥骨直腸筋に至るまで十分に直腸を授動した.仙骨前面にメッシュを固定,頭側に牽引した直腸の後面を覆うようにしてメッシュと縫合した.次いで腟管と直腸の間を肛門挙筋まで剥離,後壁用のメッシュを肛門挙筋および後腟壁に縫合固定した.さらに腟管前方を,尿道バルーンを目安にして膀胱の尿道付着部近傍まで深く剥離し,前壁メッシュを腟壁最下端の尿道膀胱移行部から前腟壁にかけて縫合固定した.後壁メッシュ頭側端は腹膜に,前壁メッシュ頭側端は十分に腟断端を頭側に挙上させた状態で岬角に固定した.手術時間は440分.出血量は380 gであった.術後経過良好にて9日目に退院した.現在術後1年経過しているが,骨盤臓器脱の再発は認めていない.以上より直腸脱を合併した直腸瘤に対して,仙骨腟固定術および直腸固定術を腹腔鏡下に併施することは,手術を低侵襲かつ一期的に行うことができ,有用な方法と思われた.

Key words:rectocele, rectal prolapsed, laparoscopy

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(4) 451-455, 2010


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