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【特集】
卵管妊娠および部位不明妊娠に対する全身MTX療法と血中hCG値の推移―16症例の解析より―


佐藤 翔, 難波 聡, 新澤 麗, 水上 順智, 梶原 健, 岡垣 竜吾, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学産科婦人科


 2007年7月から当院では,異所性妊娠(卵管・頸管・腹腔・瘢痕部・部位不明)に対して,条件を満たした希望患者にmethotrexate(MTX)投与による治療を開始した.MTX療法は卵管摘出や子宮摘出といった手術を行うことなく,妊孕性温存が期待できる利点がある.本研究は,治療例の経過を後方視的に検討し,本治療の経過と血中hCG値の関係を明らかにすることを目的とした.<方法>2007年7月〜2009年5月において,埼玉医科大学病院で管理した異所性(子宮外)妊娠59例のうち,23例(39%)がMTX療法の適応ありと判断され,そのうち16例(70%)にMTX療法を施行した.内訳は卵管妊娠11例,部位不明妊娠5例であった.これらの血中hCG値を経時的に測定し,その治療経過とともに解析した.<結果>全16例中,治療後4日目に血中hCG上昇が9例に認められ,全例2回のMTX投与を要した.MTX投与後手術を必要とした症例は2例(13%)であり,この2例のみ治療直前の血中hCGが3,300 mIU/mL以上であった.<結論>治療開始後4日目のhCG値上昇は複数回のMTX投与の必要性を示唆し,治療直前の血中hCG値は予後予測に有用であると考えられた.

Key words:ectopic pregnancy, methotrexate, hCG

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(4) 475-480, 2010


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