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【症例報告】
嵌頓子宮のため術前診断が困難であった瘢痕部癒着胎盤の1例


奈良 亜貴子, 安藤 紀子, 青木 茂, 佐藤 美紀子, 武居 麻紀, 茂田 博行
横浜市立市民病院産婦人科


 帝王切開術後の瘢痕部癒着胎盤は分娩時に大量の出血を伴うことが多く,その診断・管理は重要である.今回我々は,瘢痕部妊娠・癒着胎盤を形成していたが,子宮体部が小骨盤腔内に嵌頓した状態であったため,その術前診断が困難であった症例を経験したので報告する.症例は34歳で1回の帝王切開の既往がある.妊娠30週3日に性器出血を認めたため入院.経腟超音波所見上,当初は胎胞突出が疑われたが,胎胞と思われた部位は子宮後壁であり,子宮口は閉鎖し上方に高度に偏位し,胎盤は底部付着と診断した.31週6日に出血・子宮収縮増強し分娩不可避と判断,緊急帝王切開術を施行した.開腹すると子宮前面に10 cm大の膨隆した部位が認められ,胎盤と思われる組織が透見された.その頭側に正常の子宮壁が認められたことから,離開した帝王切開瘢痕部への癒着胎盤と考えた.そのため子宮体部縦切開により児を娩出し,引き続き子宮全摘術を施行した.摘出子宮は,前壁が膨隆し胎盤が透見でき,後壁は屈曲した状態で癒着し,子宮全体が後方に嵌頓していた.病理組織所見では極度に菲薄化した筋層に絨毛組織が浸潤しており嵌入胎盤と診断した.本症例では,子宮が後方に嵌頓し代償的に子宮頸管〜前壁が過度に伸展したことで,瘢痕部癒着胎盤の付着部筋層が極度に菲薄化したと考えられた.このため胎盤が子宮底部に付着しているかの如く観察され,術前に癒着胎盤と診断することが困難であったと考えられた.

Key words:placenta accrete, uterine incarceration

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 48(1) 17-21, 2011


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