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【症例報告】
診断に苦慮した閉経後卵巣Dysgerminomaの一例


蔵本 吾郎, 石谷 健, 鈴木 志帆, 深川 富美子, 高橋 伸子, 金野 潤, 劉 典子, 嶋田 悦子, 上田 英梨子, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科学教室


 Dysgerminomaは原始胚細胞を発生母地とする悪性胚細胞腫瘍の一つであり10代後半から30代に好発する.今回,我々は剖検にて判明した閉経後女性における卵巣原発のdysgerminomaを経験したので報告する.症例は63歳,1経妊0経産.52歳閉経.2008年3月に子宮頸部上皮内癌に対して子宮頸部円錐切除術を施行し,術後は当科外来にて経過観察され,2008年11月の外来受診で子宮,卵巣に異常は認めなかった.2009年1月に腹満感と乏尿で外来受診.内診上新生児頭大の腫瘤,経腟超音波断層法で直径13 cmを超える多房性の骨盤内腫瘤,腹水貯留,下腿浮腫,右下腿の腫脹,疼痛が認められ,卵巣癌の疑いにて入院精査となった.骨盤MRIでは両側卵巣・子宮内腔に腫瘤を認め,腸管周囲の浸潤と腹水を認めた.腫瘍マーカーはCA125が631 U/mlと高値であった.その後,腹水貯留の増加,呼吸苦が出現したため腹水穿刺を施行した.性状は淡血性であった.入院後7日目に意識レベルの低下を認めたためICU管理となり,血液透析を開始したが,大量腹水による脱水を来たし呼吸循環動態のコントロールが徐々に困難となり,入院後15日目に永眠した.病理解剖を施行したところ子宮体部と付属器は腫瘍で一塊となっていた.また組織診断では,右卵巣原発のdysgerminomaであり,死因は腹腔内出血による循環不全であった.本症例は,悪性腫瘍を疑いつつも急激な転帰をたどり生前の組織診断は困難であったが,病理解剖で診断し得たことから剖検による組織診断の重要性を再認識した症例であった.

Key words:dysgerminoma, autopsy, ovarian cancer

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 48(1) 35-40, 2011


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